優れた医薬品を届けるため
モニタリングは非常に重要
医薬品の開発において、治験が適正に行われるよう全体のモニタリングを行うのがCRAです。治験を実施する医療機関の選定・契約にはじまり、被験者※の収集、治験データの回収、進捗管理など業務は多岐にわたります。
副作用等の問題が起きていないか、期待された効果が認められるか。定期的に医療機関に伺い、カルテから情報を読み取り、クライアント(製薬会社)へ報告。その医療機関で省令やルールに則った適切な治験がなされているかも重要な確認項目となります。効果が期待できるものか、安全であるか、検証する上での正確なデータを収集するのが私たちの役割です。
※治験に参加いただく患者さま
被験者の確保に苦戦し、
仕事のやり方を見直す
データの収集には、治験計画書で規定された被験者の登録がまず必要です。ですがこれが難しい。担当する5カ所の医療機関で、1年間まったく被験者の登録がなかった、ということを私も5年目に初めて経験しました。治験薬が必要な症状が一瞬しか現れない急性期の患者さま。その限られたタイミングを拾って参加してもらわなければならず、患者さまを診る医師のご理解と協力が当然求められました。
この苦戦をきっかけに仕事のやり方を見直しました。これまでは、院内関係者への説明や設備の導入、薬の保管スペースの確保など、治験に係る全てを準備して医療機関側に依頼していましたが、ただ〝お願いをする〟やり方ではうまくいっていないと痛感。ではどうするか。医療機関をマネジメントするため、様々なマネジメント関連の勉強をしました。
結果、〝自ら進んで治験に協力しよう〟と医師に思ってもらえる体制を作ることが重要との考えに至りました。治験の目的やゴールをきちんと共有する、上手く進める方法を互いが考え意見を述べ合う場を設けるなど、アプローチ法を変えたことで医師との関係性も深まり、以後のモニタリングを円滑に進められました。
学びと実際の業務が結びつく
ところに大きな手応え
自分の知識を補強する勉強を始めたのもこの頃です。マネジメントや人材育成など実務的な経営戦略を学ぶMBA(経営学修士)のプログラムに沿って勉強し、疾患の知識修得にも努めました。担当チームの士気も高まり、またカルテに記載された検査値や症状が的確に読み取れるようになるなど、学びの効果はてきめんに現れてきました。勉強が実際の業務に結びついていき、自分の〝知的好奇心〟を満たせる仕事、職場であることはとても楽しく、やりがいを感じています。
初めてプロジェクトリーダーを務めたグローバル試験も、当時実験的な取り組みであったRisk Based Monitoring※(以下RBM)に関与することができ、試行錯誤を続けながらも手応えがありました。RBMという先駆的な取り組みに関与できたことで、普段は接点のない国内外の方々との交流もあり、非常に刺激を受けました。
※治験を進めるにあたり、問題点(リスク)のある医療施設に焦点をあて集中的に 是正・改善していく手法
人を評価する責任を実感
今後は管理職に軸足を移す
課長に着任したのは昨年の秋。課員のモチベーションやキャリアプランに大きく影響する立場になりましたので、管理職としての時間を今以上に割いて、情報をきちんと吸い上げ評価し、課題は何か、それに対し努力すべきことを共有し、各自のスキルを伸ばすことができればと思います。
臨床開発モニターは、自分を高められる仕事と考えています。入社1年目で、医療施設や医師の積極的な参加を促すリーダーシップを学び、交渉術、マネジメント力、疾患の知識と、身につけられことが非常に多い。いろんなスキルを1つの仕事で学べる、実にやりがいのある仕事だと思います。