京都府庁

業種 官公庁
2018年取材記事
医療という枠を超えて幅広く知識を積み、人のネットワークを構築し、業務に活かしていきたい。
次世代を担う薬剤師
健康福祉部 薬務課 薬事監視員
京都薬科大学 薬学部卒業 2013年入庁

環境行政というフィールドで
知識とスキルを蓄積

 大学の実務実習時に、行政の薬物乱用防止の講師として活動されている先生がおられ、私も会議などに同行させていただく中で、薬剤師が携わる仕事として行政という可能性があると知り、公務員を目指すきっかけになりました。入庁してまず配属されたのは、丹後保健所の環境衛生室。1年目は水質汚濁・土壌汚濁の防止に関する業務を担当。汚濁の原因となり得る工場等の施設建築の際には、法令に基づいた届出が必要です。これらの届出の内容を審査し、周辺環境へ影響が無いか、規制基準を満たしているかなど確認することにより、公害の発生を未然に防ぎます。またそうした施設の現地調査も行い、問題点があった場合は改善するよう事業者に対して指導するのも私の役割です。2年目からは廃棄物関係の業務も担当。産業廃棄物処理業者や施設の許認可を行いました。
 環境行政は法令や省令によって規制基準がかなり厳格に決まっており、法の知識がないと指導にぶれが生じます。「なぜ申請が認められないのか」「なぜ届け出が必要なのか」を問われた際に確かな根拠を示さねば納得してはもらえません。私は法令等を読み込むと共に、過去の事例を徹底的にあたり、一つひとつの案件に真摯に対処するよう努めました。「適確な指導のおかげで無事申請が通りました」と感謝の言葉をもらえた時の嬉しさは今も忘れません。

医薬品や医薬機器の
品質と安全が保たれるように

 4年目に本庁の薬務課に異動となり、医薬品や化粧品、医療機器の品質や安全性を監視指導する薬事監視員に。製品が薬機法に基づいた環境や工程で製造・販売されているかを調査し、許認可を行う仕事です。私が心がけているのは、指摘するだけではなく、改善策も同時に提案する姿勢。ある工場では人と製品の出入口が同じで、ゴミの混入リスクが高まるため、入口を分けるよう指導。しかし構造的に対応が難しかったため、製品の清掃用の区域を作り、清掃を行うなどのソフト面での対応策を提案したところ、納得し、改善していただくことができました。こちらが誠意を見せれば相手も協力的になる…保健所勤務時に学んだ、事業者の方とのよりよい関係づくりがここでも役に立っています。
 現在は京都府の後発医薬品の安心使用を推進するプロジェクトにも携わっています。国は2020年までに後発医薬品の使用割合を80%にするという目標を掲げています。京都府内ではまだまだ目標にはほど遠く、どこが本質的な問題なのかを知るために医師や薬剤師へのアンケートを実施したり、改善できるポイントはないかとメーカーと話し合いを重ねたりするなど様々なアプローチを試みています。重大なプロジェクトに関わることができる責任とやりがい。医療という分野を超えて幅広い経験ができるのも公務員の魅力だと感じています。

TO MY FUTURE

Myタイムカプセル

5・10年後の私

京都府庁では薬剤師職の職員は、薬事行政だけでなく環境行政や生活衛生関係など多分野の仕事を経験できます。それぞれの知識とスキルを蓄積することでジェネラリストとして活躍できる職員になるのが目標です。自分が育った京都の健康や安全にたくさん貢献できればと思います。

ADVICE

学生の皆さんへアドバイス

  • 社会人と学生の
    違い

    自由に時間を使える学生時代とは違い、社会人は一定の時間・期間内で業務を行うことが求められます。またチームのスケジュールに合わせる必要もあり、限られた時間内でベストなパフォーマンスができる集中力が必要になります。

  • 学生時代にしておけば
    よかったこと

    時間に縛られない学生時代だからこそ、長期の旅行など色々な経験をすればよかったと思います。社会に出て仕事をすると、ある程度限られた人と接することが多くなるため、学生の時に広く多彩な人間関係を築いておくべきでしょう。

  • キャリア選択の
    アドバイス

    例えば医薬品メーカーの品質や製造の管理者も薬剤師の資格が必要なのだと、この仕事に就いて知りました。薬剤師が活躍できる職種はたくさんあります。様々な可能性を知った上で、自分の進路を選択してほしいと思います。

オフタイム

アウトドアでリフレッシュ。
年に1度はフルマラソンに出場しており、
昨年の東京マラソンでは3時間を切るタイムでゴール。
練習のためのランニングが
運動不足の解消とリフレッシュにつながっています。

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