京都府庁

業種 官公庁
2024年取材記事
正確・迅速な検査で、府民が口にする食品の安心・安全を守りたい。
保健環境研究所 理化学課
薬学研究科 2010 年修了
私のCAREER
主任研究員

保健所や本庁にて食品衛生監視員・薬事監視員・環境衛生監視員として経験を積んだのち、現在は研究所にて府内で生産・販売される食品の検査業務に従事しています。検査は、食品の安心・安全を確保するための土台ともいえ、正確・迅速を心掛けるとともに、簡便で効率的な検査方法の確立にも知恵を絞っています。

15年のCAREER

  • 1~4年目

    入庁 中丹西保健所に配属
    衛生業務全般を担当

    食品衛生監視員として飲食店から食品工場までの監視指導を担当したほか、薬事監視員として国家検定やGMP調査にも従事。レジオネラ症が発生した際には、環境衛生監視員として監視指導を行うなど、幅広い業務を経験し、視野も広がった

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    4年目に管内でレジオネラ症が発生し、公衆浴場へ監視指導を行いました。ちょうどその前年、国立保健医療科学院の研修に派遣されており、そこで学んだ知識や他自治体の対応事例が、事業者への指導に大いに役立ちました。

  • 5~10年目

    本庁「生活衛生課」に配属
    食品衛生を担当

    HACCP導入に向けた関係条例の改正に奮闘。また、HACCP普及・啓発のための講習会や、HACCPを導入する事業者の支援・指導にも精力的に取り組み、そうした営みを通じて自身の知識や技術も磨く

  • 11~13年目

    産休・育休後、
    同じ職場に復帰

    産休・育休を約1年半取得。復職後は、引き続きHACCPの普及推進に努めるとともに、食中毒や違反食品の事案に多数対応し、原因究明や再発防止に向けた取り組みを行うことで食品衛生監視員としての経験を蓄積

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    保育園の事情などで育休は想定より長くなりましたが、業務は属人化させずにチームとして進めているため、安心して育児に専念できました。復職後も同じ担当で、メンバーも気心の知れた人たち。かつ、職場には子育て中の人も多く、子どもの発熱時などはお互いさまの精神で助け合っていました。

  • 14年目~

    保健環境研究所
    理化学課 主任研究員

    残留農薬やアレルギー物質、遺伝子組み換え食品などの検査業務に従事し、府内を流通する食品の安心・安全を確保するという使命を胸に業務に励む

活躍フィールドの幅広さが
公務員の仕事の魅力

 公務員は、幅広い領域で活躍できるのが魅力だと感じています。入庁後は中丹西保健所に配属され、食品衛生監視員として、地域の飲食店や食品工場を訪ね、基準に沿った衛生的な調理や温度管理が適切に行われているか監視や指導を行いました。その他、薬事監視業務として医薬品などが適切な管理の下で製造されているかの調査なども実施。さらに、感染症などの事案が発生すれば環境衛生監視員として公衆浴場などの事業者に監視指導を行うなど、衛生業務全般を並行して担当していました。
 加えて配属後、間もない頃から、小中高校を対象にした「薬物乱用防止教室」にも薬物乱用防止指導員と連携して取り組み、学校との調整や啓発資料の作成などを経験しました。指導員は全員がボランティアで、地域の薬局の方や保護司など立場もさまざま。行政の仕事が多くの方の善意に支えられていることを知る機会にもなりました。

HACCP導入に向けた条例の
改正と実運用の両面を経験

 5年目に本庁の「生活衛生課」に異動となり、食品衛生を担当。その年(2014年)の5月、国際的な食品衛生管理手法であるHACCP(ハサップ)の普及に向けて厚生労働省のガイドラインが改正され、これを受けて京都府は府内の食品関連事業者に対してHACCP導入を努力義務とする関係条例の改正を行うことになりました。改正に向けて、条例に「何を盛り込むべきか」といった骨格は生活衛生課が構想を立てます。HACCPを深く学ぶとともに保健所での経験も生かしながら、食品関連事業者から見て分かりやすく、かつ保健所にとっても指導しやすい、実用的な条例をチームとして練り上げていきました。
 また、食品関連事業者に対しては、講習会を開いてHACCPの衛生管理手法をレクチャーしたり、導入の過程で生じた課題に対し外部のコンサルタントと連携して解決策を提示するなどの支援を行いました。それまでHACCP導入の支援を行う機会はほとんどありませんでしたが、各種の研修に派遣される機会にも恵まれ、事業者への導入支援を通して、自身の知識や指導スキルも高まりました。
 10年目に約1年半の産休・育休を経て、同じ生活衛生課に復職しました。ワーク・ライフ・バランスを大切に、子どもに負けないよう私自身もステップアップしていくことが当面の目標です。京都府は仕事と育児の両立をサポートする環境づくりを推進しています。テレワークも導入されているので、有効に活用していきたいと思っています。

大学院時代の経験と知識を
検査方法の改善に生かす

 14年目からは、これまで握っていたペンをピペットに持ち替え、食品の安心・安全を確保するために農産物や食品に含まれる残留農薬やアレルギー物質などの検査業務に従事しています。例えば、残留農薬が基準値を超過していれば、健康被害の発生拡大を防ぐため、早急に回収を指示しなければなりません。半面、検査結果に誤りがあれば食品事業者などに不利益を被らせることになり、迅速性と正確性の両立が必須です。
 府民の食の安心・安全を守るという、責任もやりがいも大きな仕事であり、その使命を果たすために日々、検査の手技や結果の処理方法などを学んでいます。今年から課内でより簡便かつ効率的な検査方法を検討することになりました。また、理化学課では食品の他に医薬品など薬事に関する検査も実施しています。実験に明け暮れていた大学院時代の経験や知識を生かし、積極的に貢献したいと考えています。

TO MY FUTURE

Myタイムカプセル

5・10年後の私

保健所、本庁、研究所は立場も業務も異なりますが、密接につながっています。私は三者の立場を経験し、現場の実情を見てきたので、俯瞰的な視点で相互理解を深め、円滑な業務運営に生かしていきたいと考えています。入庁15年目を迎え、後輩も増えてきたため、みんなが楽しく気持ちよく働けるような職場環境づくりにも配慮していきます。

これが成功の分岐点

食中毒や違反食品など多くの事案に対応し、
経験値を蓄積

保健所では食中毒事案は年に1度あるかどうかでしたが、府内7保健所を統括する本庁では取り扱う事案の数が桁違い。発生すると、課全体で集中して臨みますが、対処が遅れれば健康被害が拡大してしまいます。こうした緊張感のある事案の場数を踏めたことは、食品衛生監視員として大きな成長につながりました。

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