活躍フィールドの幅広さが
公務員の仕事の魅力
公務員は、幅広い領域で活躍できるのが魅力だと感じています。入庁後は中丹西保健所に配属され、食品衛生監視員として、地域の飲食店や食品工場を訪ね、基準に沿った衛生的な調理や温度管理が適切に行われているか監視や指導を行いました。その他、薬事監視業務として医薬品などが適切な管理の下で製造されているかの調査なども実施。さらに、感染症などの事案が発生すれば環境衛生監視員として公衆浴場などの事業者に監視指導を行うなど、衛生業務全般を並行して担当していました。
加えて配属後、間もない頃から、小中高校を対象にした「薬物乱用防止教室」にも薬物乱用防止指導員と連携して取り組み、学校との調整や啓発資料の作成などを経験しました。指導員は全員がボランティアで、地域の薬局の方や保護司など立場もさまざま。行政の仕事が多くの方の善意に支えられていることを知る機会にもなりました。
HACCP導入に向けた条例の
改正と実運用の両面を経験
5年目に本庁の「生活衛生課」に異動となり、食品衛生を担当。その年(2014年)の5月、国際的な食品衛生管理手法であるHACCP(ハサップ)の普及に向けて厚生労働省のガイドラインが改正され、これを受けて京都府は府内の食品関連事業者に対してHACCP導入を努力義務とする関係条例の改正を行うことになりました。改正に向けて、条例に「何を盛り込むべきか」といった骨格は生活衛生課が構想を立てます。HACCPを深く学ぶとともに保健所での経験も生かしながら、食品関連事業者から見て分かりやすく、かつ保健所にとっても指導しやすい、実用的な条例をチームとして練り上げていきました。
また、食品関連事業者に対しては、講習会を開いてHACCPの衛生管理手法をレクチャーしたり、導入の過程で生じた課題に対し外部のコンサルタントと連携して解決策を提示するなどの支援を行いました。それまでHACCP導入の支援を行う機会はほとんどありませんでしたが、各種の研修に派遣される機会にも恵まれ、事業者への導入支援を通して、自身の知識や指導スキルも高まりました。
10年目に約1年半の産休・育休を経て、同じ生活衛生課に復職しました。ワーク・ライフ・バランスを大切に、子どもに負けないよう私自身もステップアップしていくことが当面の目標です。京都府は仕事と育児の両立をサポートする環境づくりを推進しています。テレワークも導入されているので、有効に活用していきたいと思っています。
大学院時代の経験と知識を
検査方法の改善に生かす
14年目からは、これまで握っていたペンをピペットに持ち替え、食品の安心・安全を確保するために農産物や食品に含まれる残留農薬やアレルギー物質などの検査業務に従事しています。例えば、残留農薬が基準値を超過していれば、健康被害の発生拡大を防ぐため、早急に回収を指示しなければなりません。半面、検査結果に誤りがあれば食品事業者などに不利益を被らせることになり、迅速性と正確性の両立が必須です。
府民の食の安心・安全を守るという、責任もやりがいも大きな仕事であり、その使命を果たすために日々、検査の手技や結果の処理方法などを学んでいます。今年から課内でより簡便かつ効率的な検査方法を検討することになりました。また、理化学課では食品の他に医薬品など薬事に関する検査も実施しています。実験に明け暮れていた大学院時代の経験や知識を生かし、積極的に貢献したいと考えています。