社会福祉法人恩賜財団  大阪府済生会野江病院

業種 病院

資格取得

日本病院薬剤師会 感染制御認定薬剤師
2022年取材記事
薬剤師の専門性を活かして積極的に介入し
より効果的な薬物療法につなげたい。
薬剤科
薬学部 2002年卒業

微生物やウイルスについて より深く学ぶ機会に

 感染制御に関わるきっかけになったのは、2012年に感染防止対策室が設立され、そのメンバーに抜擢されたことでした。多職種で構成されるICT(感染対策チーム)にも参加したことを契機に、抗菌薬や消毒薬はもちろん、微生物やウイルスに関する猛勉強を開始。週1回のミーティングとラウンドを通じて、感染症発生状況や培養結果、使用抗菌薬に関する問題点の報告・検討などを行う中で、考察した末に選択した抗菌薬が効いて、患者さんの状態が日に日に良くなっていくのを見ると、大きなやりがいを感じます。調剤をしていても、多くの抗菌薬がある中で、医師がこの抗菌薬を指定してきたのはなぜか、処方意図が理解できたり、これで良いのかを判断できるようになるなど、収穫も多かったです。

AST専従薬剤師として プロトコル作成にも注力

 活動に関わり、専門的な知識を習得していく中で、「チームの一員として自信につながるのではないか」と考え、感染制御認定薬剤師の資格取得を目指すようになりました。試験対策として行った勉強も、普段の業務と重なる内容で、なぜこうした対策が必要かなど、改めて業務を振り返る良い機会になりました。
さらに2018年にはAST(抗菌薬適正使用支援チーム)も設立され、AST専従薬剤師として主導的な役割を果たすように。血液など無菌検体の微生物培養陽性症例や広域抗菌薬の長期使用症例などを対象に、毎週カンファレンスを開催。その内容を主治医にフィードバックすることで、抗菌薬の狭域化や不要な抗菌薬の投与中止、あるいは抗菌薬が必要なケースの早期投与開始など、実績を上げています。当院では早期から、ICT薬剤師がTDMの採血オーダーができるようにするなど、多職種が情報共有するもとで円滑に治療を遂行するための体制づくりを進めていたことも、こうした成果につながっていると思います。
 また、こうした成果を化学療法学会で発表するなど、情報発信にも力を入れています。院内においても、薬剤科にとどまらず、医師や看護師など他職種に向けた講習会を開催する機会も増え、薬剤師の存在価値の向上にも貢献できていると、手応えを感じています。
 当院ではほかにも、薬系大学と連携した抗菌薬に関する臨床研究や、地域病院と連携したカンファレンスの開催など、病院の枠を超えた感染対策地域連携の強化に向けた取り組みも積極的に行っており、地域の感染対策や抗菌薬適正使用支援に貢献できるのが大きな魅力です。
 現状ではまだ限定した症例にしか介入できていないのですが、今後はさらにその範囲を広げ、感染症治療の院内治療ガイドラインやプロトコルの作成など、しっかりと成果につなげていけるように頑張っていきたいと思います。

ADVICE

後輩の皆さんへアドバイス

専門性を発揮でき、やりがいも大きい!

感染領域は幅広く、勉強は大変ですが、あらゆる診療科に関連し、薬剤師が専門性を発揮することで、薬剤耐性菌の抑制や、症状の改善につながるケースもあり、やりがいも大きいものです。ぜひ興味を持って多くの人に学んでもらいたいと思います。

感染制御活動に3年以上従事していることなどが必要
  • 学会入会

    日本病院薬剤師会の会員になる
  • 実務経験

    薬剤師実務経験3年以上
    感染制御活動3年以上従事
  • 講習会

    感染制御領域の講習会
    20時間、10単位以上履修
  • 申請・試験

    業務内容・実施した対策内容を
    20例以上報告
  • 更新

    5年ごとに更新
取得方法

感染制御認定薬剤師の認定を申請する者は、以下の資格を満たす必要があります。
(1)薬剤師としての実務経験を3年以上有し、日本病院薬剤師会の会員であること。(2)別に定める学会のいずれかの会員であること。(3)病院または診療所に勤務し、3年以上、かつ、申請時に引き続いて1年以上施設内において、感染制御活動(院内感染防止対策委員会、院内感染対策チーム、抗菌薬適正使用支援チームの一員、委員会・チームと連携した活動など)に従事していること。(4)施設内において、感染制御に貢献した業務内容及び薬剤師としての薬学的介入により実施した対策の内容を20例以上報告できること。(5)日本病院薬剤師会が認定する感染制御領域の講習会、及び別に定める学会が主催する感染制御領域の講習会などを所定の単位(20時間、10単位)以上履修していること、などの条件があります。
※(2)(5)の「別に定める学会」は次の通り。●日本医療薬学会 ●日本薬学会 ●日本臨床薬理学会 ●日本TDM学会 ●ICD制度協議会に加盟している学会・研究会

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