社会福祉法人恩賜財団  大阪府済生会野江病院

業種 病院
2024年取材記事
感染症領域で職能を発揮するとともに後進の指導にも力を尽くしたい。
薬剤科
薬学部 2017 年卒業
私のCAREER
抗菌薬適正使用支援チーム 専従薬剤師

多様な診療科の調剤・病棟に加えて、感染対策チームや抗菌薬適正使用支援チームでの活動、さらに京都薬科大学の卒後教育プログラムも受講するなど様々な経験を糧に成長し、他職種と協力しながら患者さんへの貢献度をより高めていきたいと考えています。

8年のCAREER

  • 1年目

    入職
    セントラル業務

    前半は水剤、散剤、注射薬などを含む調剤を徹底して学び、後半は調剤監査や入院時の持参薬確認なども行い、薬剤師としての基本を築く

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    ここがPOINT1

    錠剤のピッキング、水剤、散剤、注射薬をそれぞれ1週間ずつ2回行いました。1回目は先輩がつきっきりで指導してくれ、2回目はまず自分でやり、わからないことは聞くというスタイルで、しっかりと知識を定着させることができました。

  • 2~6年目

    整形外科・眼科病棟業務
    感染制御認定薬剤師

    整形外科・眼科の病棟に配属され、感染対策チーム・抗菌薬適正使用支援チームにも参加。4年目から京都薬科大学の卒後教育プログラムを受講し、症例作成や文献検索から研究計画の立て方や論文の書き方を磨く。6年目に感染制御認定薬剤師の資格を取得

  • 7年目

    心臓血管外科・循環器内科
    呼吸器外科・糖尿病内科病棟業務

    心臓血管外科・循環器内科・呼吸器外科・糖尿病内科の病棟に配属され、新たな分野の知識を広く吸収。抗菌薬適正使用支援チームとしての活動も継続して行う

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    ここがPOINT2

    京都薬科大学の卒後教育プログラムでの学びを活かして論文を作成し、ようやく投稿することができました。学会発表や論文投稿することで、自身の学びも深まり、また違う角度からの意見にも触れ、新たな気づきにもつながり、さらなる知識習得への意欲も湧きました。

  • 8年目

    抗菌薬適正使用支援チーム 専従薬剤師
    神戸薬科大学 臨床講師

    抗菌薬適正使用支援チーム専従薬剤師となり、適切な抗菌薬の投与量や投与方法の提案、TDM(血中濃度モニタリング)実施とTDMに基づく投与設計の提案、特定抗菌薬の使用状況の集計と評価などに携わる。神戸薬科大学臨床講師として学生の卒業研究もサポート

多様な業務を通じて
幅広い知識と経験を養いたい

 若手のうちから多様な診療科の調剤・病棟を経験できることや、研修施設としても多く認定され、専門認定薬剤師の資格も取得しやすいことに加え、職員同士の和やかな雰囲気にも惹かれ、入職を決めました。
 入職後はまず調剤をはじめとしたセントラル業務からスタート。当院は院内調剤をしているので、薬の種類も量も多く、初めは覚えるのが大変でした。先輩の指導のもと、錠剤のピッキング、水剤、散剤、注射薬を1週間ずつ繰り返し、院内ルールなどにも徐々に慣れていきました。1年目の後半は、調剤の監査や入院時の持参薬の確認なども行い、薬剤師としての基盤を固めることができました。

チーム医療に参加し
卒後教育プログラムも受講

 2年目からは整形外科・眼科の病棟に配属され、医師や看護師のほか、管理栄養士や理学療法士など多様な職種と関わるようになりました。薬剤師同士だと薬の作用機序や適切な投与量などについて意見を交わすことが多かったのに対し、他職種からは「薬によってどういう影響を受けるのか」という広範な質問が多く、より患者さんの生活や病態に即しつつ、わかりやすく答えることが重要だと感じました。
 患者さんに対しても、特に高齢者に接する時は、いきなり薬の話をするのではなく、世間話なども交えて緊張を解いてから本題に入るなど、要点をしっかりと伝えるための工夫をするようにしました。一方で、限られた時間での服薬指導となるため、内容をいかに濃いものにするかも重要です。そこで、例えば目薬の点眼の仕方や使う時間などを一覧表にしたものを予めつくっておくなど、準備にも力を入れるようにしました。
 また感染対策チーム(ICT)や抗菌薬適正使用支援チーム(AST)にも参加し、毎週、院内を巡回して感染リスクの指摘や改善を行うほか、抗菌薬の適正使用に関わるマニュアルの見直しなどにも携わりました。一緒に活動する先輩2人が感染制御認定薬剤師の資格を有していたことから、私も取得を目指すことを決意。また、症例作成の方法についても基本から学びたいと考え、京都薬科大学の卒後教育プログラムを受講することにしました。症例作成や文献検索の仕方から研究計画の立て方、論文の書き方まで、意欲的な仲間と共に学び、大いに刺激を受けました。
 感染制御認定薬剤師の資格も無事に取得でき、ようやく先輩たちに少し近づけた、これからがスタートだと気合も入りました。

調剤と病棟のどちらの業務にも携わり
相乗的にスキルアップ

 他診療科の病棟での経験を積みたいという希望が叶い、7年目からは心臓血管外科・循環器内科・呼吸器外科・糖尿病内科の病棟業務を主に担当するようになりました。糖尿病の患者さんへのインスリンの適切な使用法や食習慣の指導や、薬物療法に精通した内科医との関りなど、日々、新たな知識を吸収し、それに伴い今まで感じなかった疑問も持つようになり、調べる機会も増え、対応できる範囲も飛躍的に広がったと感じています。
 当院では、2チーム体制で2カ月おきに調剤と病棟と業務をローテーションするのですが、調剤で得た知識を病棟で活かせたり、その逆もあったりします。双方に携わることで、相乗的にスキルアップできることに加え、担当患者さんが退院後に外来で来られることもあり、その後の様子を知ることができるのもよいところだと感じています。

AST専従薬剤師として
感染症患者さんをサポート

 現在は、AST専従薬剤師として適切な抗菌薬の投与量や投与方法に加え、TDM(血中濃度モニタリング)実施とTDMに基づく投与設計の提案、特定抗菌薬の使用状況の集計と評価などを主に行っています。
 感染症は命に関わるだけに、「これが本当にベストと言えるか」と常に自問し、確信が得られるまで徹底的に調べるようにしています。発熱の原因を突き詰めるべく、様々な可能性を考え、文献を検索して、仮説に基づいて検査をして、原因を特定できた時には大きなやりがいを感じます。
 感染症で亡くなる人は、今後、がんで亡くなる人より増えるという予測もあり、エリア全体で感染症や抗菌薬に関する情報を共有することが非常に大切になってきます。そこで近隣の病院や診療所への感染対策や抗菌薬適正使用に向けた活動のサポートなどにも力を入れています。
 また、神戸薬科大学の臨床講師という立場から、学生の卒業研究のサポートもしています。学生の新鮮な視点に触発されることも多く、私の学びの意欲にも火が付き、今後大学院への進学や博士号の取得にも挑戦したいという気持ちが沸き上がっています。今後も自己研鑽を積み、抗菌薬の適正使用や感染管理に向けた提案を積極的に行っていきたいと思います。

TO MY FUTURE

Myタイムカプセル

5・10年後の私

年1回以上の学会発表を今後も続けていくことに加え、5年以内の目標としては、抗菌化学療法認定薬剤師、感染制御専門薬剤師などの資格を取得したいと考えています。さらに最近になって、10年以内に大学院へ進学し学位を取得したいと思うようになりました。

これが成功の分岐点

卒後教育プログラムでの学びで
知識も視野も広がった

4年目から京都薬科大学の卒後教育プログラムに参加したことは、その後のキャリアにも大きな影響を与えたと思います。症例報告の書き方から研究計画・実施の方法、論文作成に必要なスキルまで学び、知識はもちろん視野も大きく広がりました。このプログラムで学んだことを活かして、今では後輩の研究および神戸薬科大学の学生の卒業研究のサポートもしています。

私なりの仕事の心掛け

相手の意見や考えに耳を傾け
適切な助言や提案を行うよう留意

他職種と連携するために、日頃からコミュニケーションを取るようにしています。特に現在、私がしている抗菌薬適正使用支援チームの活動は、名称の通り「支援」という立場なので、治療に際して医師や看護師との情報共有が非常に大切です。主治医や他職種の治療方針や意見にもしっかりと耳を傾け、適切な助言や提案を行うことを心掛けています。

学生の皆さんへメッセージ

学生の今しかできないことをして
楽しい思い出をたくさんつくろう

薬剤師は一生勉強と言われており、勉強は社会人になってからも続きます。特に仕事をし始めてからは、大学の授業で習ったことの大切さが理解できるようになり、今では楽しく自己研鑽できるようになっています。
逆に言うと、勉強は社会人になってからでもできるので、学生時代は勉強も大切ですが、長期旅行など学生の時にしかできないことをして、たくさん楽しい思い出をつくるとよいと思います。

オフタイム

学会など遠方に出張した際の空き時間や、
友人と旅行に行った先で、
寺社仏閣をめぐって御朱印を集めたり、
「ちいかわ」のご当地キーホルダーを集めたりしています。
最近、運動不足を感じてジムに入会し、
プールに通うようになりました。

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