独立行政法人国立病院機構 東海北陸グループ

業種 病院

資格取得

日本病院薬剤師会 精神科専門薬剤師
2025年取材記事
精神疾患を抱える患者さんの安全かつ合理的な薬物療法を支え 予後の改善につなげたい。
認知症・せん妄ケアチーム
薬学部 1998年卒業

精神科専門病院で培ったスキルを 急性期の臨床で活かす

 薬剤師としてのキャリアをスタートさせた初期、24歳から6年間にわたって精神科専門病院で勤務。患者さん一人ひとりの病態や背景が非常に多様で、薬物療法においても高い専門性と慎重な対応が求められる環境で、向精神薬の基本から応用まで幅広い知識と実践経験を積むことができました。
 その後は現在に至るまで急性期病院に勤務しているのですが、精神科専門病院で身に付けたスキルは大きな財産となっています。精神科医が減少傾向にある中で、精神科医が常勤していない急性期病院も増えていますが、その一方で精神疾患を抱える患者さんは少なくありません。こうした状況下で、患者さんにとっての安全かつ合理的な薬物治療を支えるためには、向精神薬の適正使用など精神科領域における薬学的知見は非常に重要で、他職種からも大いに求められていると感じます。様々な診療科の病棟を担当してジェネラリストとしての学びを広げつつ、精神科領域の情報も積極的に収集し、論文を執筆するなど専門性を磨くことにも力を入れてきました。精神科薬物療法認定薬剤師の認定制度ができたことを知り、これまでの学びや経験をカタチにしたいといち早く取得、その後2013年に精神科専門薬剤師の資格を取得しました。

「薬の専門家」として介入し 原疾患の治療をより円滑に

 現在は、「認知症・せん妄ケアチーム」として主に精神科領域の薬物療法に携わっています。特にせん妄は、精神科以外の診療現場でも日常的に見られるにも関わらず、専門に扱う医師はほとんどいないため、薬剤師が薬物調整において中心的な役割を果たすことになります。資格を取得したことで、他職種からの信頼も高まり、またチーム活動に必要となる向精神薬の使用に関するマニュアルや院内基準についても、精神科や脳神経内科の医師と検討を重ねて作成することができました。患者さんに対しても「専門資格を持つ私が、あなたに一番合うと考える薬を選びました」と、自信と責任を持ってお伝えすることで、「薬が効かない」という訴えも減りました。
 チームとして重視しているのは、「原疾患の治療が円滑に行える環境を整えること」です。精神科の症状は、臨床検査値に表れにくく定量的な評価が難しいため、小さな変化を丁寧に拾い上げることが大切です。早期に対応することで、治療の中断や誤薬・転倒などのリスクを予防し、予後の改善につなげることができた時には、大きなやりがいを感じます。
 「薬の専門家」としての薬剤師の本領を大いに発揮できる分野であるにもかかわらず、精神科専門薬剤師は全国でも約60名と少なく、後進の育成もこれからの私の役割の一つだと考えています。

ADVICE

後輩の皆さんへアドバイス

多様な病院での 経験が成長に

一口に病院と言っても急性期病院、慢性期病院、専門病院など様々ですが、国立病院機構はそのどれもを経験できるチャンスがあり、ジェネラリストとして幅広い知識を培いつつ、スペシャリストとして高みを目指せる環境があるのが魅力です。

精神科薬物療法認定薬剤師で、
学会発表・学術論文掲載を満たしているなどが必要
  • 学会入会

    指定学会のいずれかの会員になる
  • 認定

    精神科薬物療法認定薬剤師である
  • 学会

    精神科領域に関する学会発表
    2回以上(1回は発表者)
  • 論文

    精神科領域の学術論文
    1編以上(1編は筆頭著者)
  • 申請・認定

    認定試験受験
取得方法

精神科専門薬剤師の認定を申請する者は、以下の資格を満たす必要があります。 (1)精神科薬物療法認定薬剤師であること。(2)日本精神神経学会、日本神経精神薬理学会、日本臨床精神神経薬理学会、日本生物学的精神医学会、日本病院・地域精神医学会、日本社会精神医学会、日本老年精神医学会、日本精神科救急学会、日本認知症学会、日本精神薬学会のいずれかの会員であること。(3)精神科領域に関する学会発表を2回以上、精神科領域の学術論文を1編以上、を満たしていること。(4)日本病院薬剤師会が行う精神科専門薬剤師認定試験に合格すること、などの条件があります。

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