刺激と安定のどちらも
叶えられるのが魅力
入庁して14年間、6度の異動があり、保健所や本庁など様々な職場を経験しました。このようなジョブローテーションは、私が公務員の道を選んだ理由のひとつ。数年ごとに環境が変わることでモチベーションを保ちながら仕事ができると考えました。
食品衛生監視員として、まずは藤井寺保健所に配属されました。地域の飲食店や食品製造工場を訪問して、衛生基準に沿った環境や製造工程を守っているかを監視・指導するのが主な業務です。普段は入れない工場の製造ラインを見ることができるのが興味深く、先輩に同行して監視や指導の基本を学びつつ、食品製造に関する知識を深めることができました。
入庁3年目に発生した生食用牛肉の食中毒事件を受け、焼肉店や精肉店への監視・指導を強化するとともに、啓発のための講習会を実施。資料作成から講演までを担当しました。中には定められた基準に理解をいただけない方もいて苦労しましたが、法律をわかりやすく噛み砕いて説明したり、生肉の危険性を辛抱強く伝え、納得いただくことができました。
本庁では大阪府全体の
食品衛生に関わる仕事を経験
4年目に本庁の「食の安全推進課」に異動。現場を飛び回っていた保健所時代と異なり、デスクワーク中心の業務に変わりました。各保健所の食品衛生監視員が効率的かつ効果的に監視・指導を実施できるようにするため、大阪府全体の監視指導計画を立案。その他にも、関係自治体との連絡調整や保健所との連携業務も担います。例えば「食品に異物が混入していた」という申出が保健所に入り、それを作っている工場が他の都道府県だった場合、その原因究明や再発防止のため関係自治体に調査依頼を行います。各保健所から報告・相談が集約され、多種多様な案件を処理することで一気に経験値が上がりました。
その後、茨木保健所での勤務をはさんだ後、10年目に部内の人事交流制度で薬務課に異動。薬事監視員として、医薬品卸や薬局・ドラッグストアに対して抜き打ちで検査に赴き、医薬品の流通・保管・管理が適切に行われているかを確認・指導を行う他、健康食品の誇大広告の調査も経験。12年目には健康推進室に異動し、禁煙の啓発活動や、喫煙室設置の補助金処理業務に従事しました。
様々な経験を糧にして
ステップアップを実感
14年目の現在は、食の安全推進課に戻り「食品衛生広域監視センター」に勤務しています。ここは府下全体を担当エリアとして、大規模な食品製造施設の衛生管理や監視指導を行う部署。2020年、HACCP(ハサップ)という食品衛生の手法が全ての食品関連事業者に義務化されました。工程を細かく管理することで徹底した衛生管理が行えるのですが、この啓発が主な業務になります。私は総括主査としてグループを管理しつつ、年間を通してどの施設を検査するかの計画立案も行います。広域に点在する数多の食品製造施設をどう網羅するかがこれからの腕の見せ所。事業者のことを考えるのも大切ですが、その先にいる府民とそれを利用する方の安全・安心を守るというのが食品衛生監視員の仕事の根幹。それを忘れずこれからも仕事に取り組んでいきたいと考えています。