保健所から中央卸売市場へ
さまざまな経験を重ねる
公務員という進路を知ったのは就職活動を始めてから。薬剤師の就職先は薬局か病院だと漠然と思っていたのですが「こんな道もあるんだ」と興味を持ったのがきっかけです。入庁後は食品衛生監視員として、富田林保健所で飲食店などの許認可業務や、府民からの食品に関する相談や苦情の対応などを担当しました。また、近隣の学校や障がい者就労支援施設などから食品衛生に関する講習会を依頼されることも。聞き手の年齢や生活スタイルに合わせて、わかりやすく伝えることに注力しました。人に伝えるためにはより深い知識が必要だと痛感し、食品表示検定も受験。資格取得をきっかけに副主査へ昇進しました。
保健所で3年間勤務した後、4年目に中央卸売市場内にある食品衛生検査所へ異動。日勤は主に市場の食品を対象とした検査業務を行います。夜勤では市場のセリ開始前に、市場内を回りながら食品の温度管理や保管状態が適切か監視・指導を行います。セリ前の忙しい時なので、市場で働く事業者の方々に当初はうまく話しかけられず戸惑ったことも。自分から笑顔で挨拶をしたり、食品のおいしい食べ方を聞いてみたり、日頃から能動的に関わっていくことで次第に信頼関係ができ、スムーズなコミュニケーションができるようになりました。
スケールの大きな仕事に
やりがいを感じる
入庁から9年目の現在、「食品衛生広域監視センター」に勤務しています。2020年に開設された部署で、これまでは地域の各保健所で行っていた大規模な食品製造施設の衛生検査や監視指導業務を集約して、スピーディーかつ効率的に対応できるよう設置されました。
ここではチームに分かれて企業の食品工場や学校給食センターといった大きな施設を中心に立ち入り検査をします。衛生管理が正しくなされているか、記録や書類関係に不備はないかなどを確認、私は班長として担当エリア内を総括し、監視計画を立てる役割も担っています。また監視・指導業務以外にも夏は食中毒、秋はキノコ類など季節ごとのテーマでポスターを制作して地域に配布したり、広く食の安全を訴える啓発活動にも取り組んでいます。
大規模施設への対応や広報活動に関わるのも、私にとってはまだ慣れないこともたくさんありますが、そのぶん大きなやりがいを感じられます。
結婚や出産を経ても
自分らしいキャリアを描きたい
様々な部署を経験する中で、定期的に知識を広めたり、アップデートしておくなど必要性をとても感じています。職場もスキルアップを支援してくれており、今年は大阪府庁の代表として国立保健医療科学院の「食品衛生危機管理研修」を受講します。全国の食品衛生監視員が集まる研修で、最新の情報や技術に触れることができると今から楽しみです。
私は入庁6年目に結婚しましたが、結婚や出産がキャリアアップの壁にならないのもこの仕事のよいところだと思います。子育てをしながら生き生きと仕事を続けておられる女性の先輩も多く、お手本にしたいなと憧れています。