独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO) 【西日本地区18病院】

業種 病院

資格取得

日本病院薬剤師会 がん薬物療法認定薬剤師
2022年取材記事
患者さまが安心して抗がん剤治療を受けられる 治療品質の向上を目指して。
京都鞍馬口医療センター
薬学部 2009年卒業

治療方針の監査や 最適なレジメン提案に取り組む

 初めて担当した病棟で、医師から「この患者さまの抗がん剤治療を次のレジメンに移行しようと思うけど、その場合、標準レジメンは何になる?」と問われ、衝撃を受けました。それまでレジメンの選択は医師が行い、薬剤師は患者さまに説明をするだけと思っていたのですが、医師と共に治療方針を確認したり、最適なレジメンを提案することも薬剤師の仕事なのだと、改めて気付かされました。それを機に、「大学病院や専門病院にも負けない治療品質を目指そう」と奮起。ガイドラインを再度しっかりと読み込み、薬剤師向けのものだけでなく、研修医向けの「レジデントマニュアル」なども参考にするなど、勉強にも一段と熱が入るようになりました。また、治療方針の監査や、患者さまの副作用の状況や生活スタイルに合わせた処方提案など、自分から積極的に医師に働きかけるように心掛けました。
 さらに、先輩と共に内服抗がん剤の外来患者さまへのフォロー体制構築にも着手。外来でも点滴による抗がん剤の場合は、初回は入院して行うため、服薬指導ができていたのですが、内服薬のみの場合は入院しないため、それまで介入できていなかったのです。「副作用を最小限に抑えて、効果を最大限に発揮できるようにサポートするのが、がん治療に関わる薬剤師の仕事」という信念のもと、外来での症例を集め、まずは外来がん治療認定薬剤師の資格を取得しました。

服薬指導のマニュアル化や 後進指導にも尽力

 がん薬物療法認定薬剤師の資格取得には、認定施設での3カ月にわたる研修が必要となるため、職場を離れることに不安を感じていたのですが、上司が後押ししてくれたことに加え、私自身「この資格を取得したいと考える後進に道をつくることに意義がある」との思いから、取得を決意しました。せっかくなら自分が勤務する病院とは異なるタイプの病院を見てみたいと考え、他の大規模病院での研修を選択。今までに経験したことのない症例や薬剤に触れ、知識はもちろん、経験や視野の幅も広げることができました。提出のための50症例を揃えるのは大変でしたが、当院の上司ばかりでなく、研修先の先生からも査読してアドバイスしていただくなど、とても参考になりました。
 資格を取得したことで、より責任感を持ってがん治療に携わるようになり、またレジメン管理のテンプレート作成を任されるなど、新たな役割も増えてきています。特に現在は治療品質の向上を目指し、服薬指導のマニュアル化や後進育成に力を入れています。今後は論文発表など、より広く社会に向けた発信にも取り組んでいきたいと考えています。

ADVICE

後輩の皆さんへアドバイス

論文を読む習慣をつけて

最新の医学を学ぶために、論文を読む機会が増えます。英語で論文を査読する習慣を持っていると、とても今後の力になると思います。就職活動では、希望する職場について納得できるまで徹底的に調べることが大切です。

研修8週間以上、指導実績50症例以上などが条件
  • 学会入会

    日本病院薬剤師会の会員になる
  • 実務経験

    薬剤師実務経験が3年以上必要
  • 実技研修

    日本病院薬剤師会が認定する
    研修施設で実技研修を8週間以上履修
  • 履修講習会

    日本病院薬剤師会が認定する
    がん領域の講習会、および学会が
    主催するがん領域の講習会などを
    40時間、20単位以上
  • 申請・試験

    がん患者への薬剤管理指導の
    実績50症例以上
取得方法

がん薬物療法認定薬剤師の資格取得には次の条件を満たす必要があります。(1)薬剤師としての実務経験が3年以上あり、日本病院薬剤師会の会員であること。(2)日病薬病院薬学認定薬剤師であること。ただし日本医療薬学会の専門薬剤師制度により認定された認定薬剤師であればこれを満たす。(3)日本病院薬剤師会が認定する研修施設において日本病院薬剤師会が別に定める実施要綱・コアカリキュラムに基づく実技研修を8週間以上履修していること、または、研修施設において3年以上、がん薬物療法に従事していること。(4)日本病院薬剤師会が認定するがん領域の講習会、および別に定める学会が主催するがん領域の講習会などを所定の単位(40時間、20単位以上)履修していること。ただし40時間のうち日本病院薬剤師会主催のがん専門薬剤師に関する講習会12時間、6単位以上を取得すること。(5)がん患者への薬剤管理指導の実績50症例以上(複数の癌種)を満たしていること。(6)日本病院薬剤師会が行うがん薬物療法認定薬剤師認定試験に合格していること、などの条件があります。

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