治験が適正に行われているかを監視
新たな医薬品を世に送り出す
世の中には未だ治療方法や医薬品が見つかっていない分野が数多く残されています。患者さまが待ち望む新薬の開発プロセスで、安全性や有効性を確認するための治験が、関連法規や実施計画書に従って適正に行われているかモニタリングを行うのがCRAの仕事です。
治験に協力いただく医療機関を選定し、該当する症状をお持ちの患者さまに参加いただく準備を行い、そこから治験薬のデータを収集し報告書にまとめるまでに数年を要します。当初は医師やスタッフとの関係性を構築することに苦心しましたが、創意工夫すれば手応えがあり、それが仕事の面白さと感じました。担当した治験薬は結果的にほとんどが承認され、全国の医療機関で使用されています。添付文書に私が関わった治験のデータが掲載されているのを見ると「新薬開発に貢献している!」達成感があります。
現在は、臨床開発事業部 開発7課の課長として、CRAメンバー15人を取りまとめる立場にあります。それぞれ別プロジェクトの業務に着いていますので、状況を把握し相談事があれば助言。また、各人とできるだけ向き合い、目標や将来設計などを聞き、実現のためのサポートを行っています。
再生医療業務の最前線で
手腕を発揮
CROという業態はこれから大きな変化が訪れると予想されます。再生医療は最も注目されている分野で、既存の医療、医薬品では治せなかった部分を埋める大きな可能性を有しています。私も早くから関心を寄せ、当社のワーキンググループに参加。その流れから一昨年に「再生医療推進室」のリーダーに抜擢されました。学会や業界団体など外部とのやりとりを全て担う部署であるため、講演会への参画等の活動を通して業界の変化を肌で感じることができます。大学の研究者や再生医療参入を志すベンチャー企業との交流は実に刺激的ですね。新しい事業が生まれる現場を目にする機会も多く触発されています。
またプロジェクトマネージャーとして、有効な治療が存在しない致死性の呼吸器疾患を対象とした再生医療等製品の治験を昨年から開始しました。この案件はプレゼンで勝ち取ったもので、モニタリング業務だけでなく、プロトコル作成、データマネジメント、統計解析、治験総括報告書作成等のすべての治験業務を当社がフルアウトソーシングで受託。各業務に業務責任者(プロジェクトリーダー)がおり、私はこのビッグプロジェクトを統括する責任ある立場にいます。治験を行う製品は生きた細胞(幹細胞)で管理等にも厳格さが求められますが、積み上げた医薬品治験のノウハウを生かし、クライアントと十分なコミュニケーションを取りながら、重篤な呼吸不全を改善すると期待される再生医療等製品の治験を完遂したいと思っています。
CRO業界の枠を超えた
新規事業にも取り組みたい
今後のキャリアステップとして、課長の上位職であるモニタリング部門の部長職を目指すか、より高度な臨床開発に携わる専門職を目指すか。自分の適性を見極め、決めないといけない時期かもしれません。ただ、AIやビッグデータ等の台頭でビジネス環境が劇的に変わろうとしている昨今、上位管理職も現場プレイヤーでなければ時代の先頭を走ることはできないことを実感。双方を極めていくことが、最良の選択ではないかと考えています。
EPSグループは持続的な発展に向け新規事業を戦略的に検討し、多くの仕掛けを打っています。私自身も新たな流れに加わり、CROの事業内容を変革するような仕事を是非行ってみたいですね。これまでと全く異なる業種との連携・協働、起業の支援など、健康産業という大きな枠組みの中で、業界の先陣を切る新たな事業をいつか立ち上げたいと思っています。