パナソニック健康保険組合 松下記念病院

業種 病院
2021年取材記事
処方箋の先の患者さまを見ることで「薬剤師ができること」は無限に広がる。
薬剤部
薬学部 2007 年卒業
私のCAREER
調剤室 リーダー(2回の産休・育休から復職)

病棟業務や糖尿病チーム、入退院支援室を経験。さらに2回の出産、育児休暇を経て、 現在は調剤室のリーダーとして調剤業務に携わる後輩のサポートや、薬薬連携の推進など、 様々なことに取り組んでいます。

15年のCAREER

  • 1年目

    入職
    調剤・病棟業務~

    1年間を通して、調剤をはじめとする薬局内の業務について徹底して学ぶ。2年目から病棟での薬剤管理指導業務を担当

  • 5年目

    産休・育休から
    復職

    産休・育休を取得し、復職後は調剤業務で改めて知識のアップデートを図る

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    ここがPOINT1

    病棟で実際に患者さまの様子や、患者さまを中心にした医療体制の全体を見たことで、それまで点だった情報がつながり、より薬効を上げるにはどうすればよいかと考え、剤形なども含めて、積極的に処方提案なども行うようになりました。

  • 7年目

    病棟リーダー
    糖尿病チームに参加

    病棟リーダーとして、病棟業務に当たる後輩への支援などを主に担当。糖尿病チームに参加し、病棟ラウンドやカンファレンスに参加するほか、患者さまを対象とした糖尿病教室を企画、講師を務める

  • 10年目

    2度目の産休・育休から復職
    入退院支援室を担当

    育休から復職し、入退院支援室で持参薬の確認や周術期に関わる薬の管理、退院後のフォローなどを行う。保険薬局の薬剤師との連携を強め、トレーシングレポートの改善や患者さま向けの指導ツールの地域共通フォーマット作成などに注力

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    ここがPOINT2

    入退院支援室は患者さまにとっての入口と出口に当たるところ。ソーシャルワーカーや保険薬局の薬剤師と協働する中で、急性期から慢性期、在宅や介護施設などをシームレスに結び、治療効果を継続して上げるにはどうすればよいかと、より大きな視点で考えるようになりました。

  • 14年目

    調剤室 リーダー

    調剤室リーダーとして、調剤業務に関わる人のサポートや、全体のスケジュール調整など、業務の円滑化を推進。また、外来担当薬剤師を新たに設け、外来に関する情報や要望を一元化し、さらなる改善に努める

患者さまから頼りにされる
薬剤師を目指して

 小さい頃から看護師として働く母の姿を見ていて、医療職への憧れがありました。また私自身、投薬治療をしていたこともあり、薬に関することはもちろん、医師に聞き忘れたことなどについても丁寧に説明してくれる薬剤師の存在はとても頼もしく、私も薬剤師を目指したいと思うようになりました。病院を中心に就職活動を行う中で、松下記念病院に注目したのは、多職種連携がまだ今ほど叫ばれる前の当時からチーム医療の体制が組まれていたこと。多職種と接する中で着実に成長でき、また常に最新システムを導入するなど環境も整っていると感じ、入職を決めました。
 入職後はまず調剤の基本を徹底して学ぶことからスタート。当時はまだ電子カルテではなかったので、処方箋から医師の処方意図や患者さまの状況を読み取らねばならず、苦労しました。そんな時に頼りになったのが先輩たちの存在でした。単に質問に答えるだけでなく、医師へのアプローチの仕方を教えてくれたり、カルテを確認しに一緒に病棟まで行ってくれたり…。おかげで少しずつ知識の幅を広げていくことができました。
 2年目からは病棟業務も行うようになり、実際に患者さまを担当する中で、投薬の全体像がわかり、なぜこの薬を服用する必要があるのか、粉砕しなければいけないのかなど、それまでの疑問が解けるとともに、患者さまといろいろな話をする中で、入院中のことだけでなく、退院後のことも考えるように意識も変わりました。

産休・育休から復職し
糖尿病療養指導士の資格を取得

 5年目には1年間産休・育休を取得し、復帰してからは調剤業務を中心に行い、まず知識をアップデートした後、病棟リーダーとして病棟業務に当たる後輩をサポート。同時に糖尿病チームの一員として、週1回のラウンドや月1回のカンファレンスに参加したり、患者さま向けの糖尿病教室を企画したりするようになりました。副作用アセスメントなどについて意見を交わす中で、多様な視点から検討することの重要性を学ぶことができました。また相手の心情に合わせた指導をより心掛けるようになりました。学んだことをカタチに残そうと、糖尿病療養指導士の資格も取得。看護師など他職種から相談されることも増え、資格を持つ者として責任を持って対応しなければと、最新情報の収集などにそれまで以上に熱心に取り組むようになりました。
 2度目の産休・育休を経て、11年目からは入退院支援室に配属されました。持参薬を確認したり、周術期に関わる医薬品の適切な使用を推進したり、退院後のフォローをしたりするのが主な業務。さらに薬薬連携を強化するためのトレーシングレポートの改善や、地域共通のフォーマット作成などにも積極的に取り組みました。ソーシャルワーカーとも協働する中で、「地域全体で患者さまを診る」という視点に立ち、急性期病院の薬剤師として求められる役割とは何かと改めて考える機会にもなりました。

外来担当薬剤師を配置。
様々な課題解決にも注力

 14年目からは調剤室のリーダーとして調剤室の業務の円滑化に向けた仕組みの構築などに取り組んでいます。その一環として、外来担当薬剤師を配置し、がん薬物療法以外の外来患者さまに関わる情報を一元化しました。そうすることで外来患者さまからのご要望や、外来スタッフのお困り事が明らかになり、より患者さま視点の支援が可能となりました。例えば注射器などデバイスに関する初回説明を行った際には、保険薬局のかかりつけ薬剤師にも説明内容を共有するようにしました。もちろん目的は患者さまがより不安なく薬物療法を継続していける環境づくりですが、それをしたことで疑義照会の内容の問い合わせが減り、服薬後のフォローアップに関する情報提供が増え、問い合わせ内容の質が変化しました。
 また、当院では医療安全という観点からIT化を積極的に推進しており、薬剤師の本来の仕事である処方監査に集中できるため、気付けることも多いと感じています。

常に患者さまを思うことで
調剤も「対人業務」になるのだと
痛感

 病棟や入退院支援室での業務を経験した上で、調剤室リーダーとなった今、強く感じるのは、処方箋の先に患者さまの人生があるということです。よく「対物から対人業務へ」と言いますが、臨床現場だけでなく、調剤室で行う業務も、処方箋の先にいる患者さまを思いながら行う「対人業務」なのだと、そう思うようになりました。
また、出産、育児を経験し、特に子どもが小さいうちは急に休まざるを得ないこともある状況下で、先を見越して仕事をすること、自分がいなくても仕事が回るように情報共有を日頃からしておくことの重要性を実感。さらに「先輩だからこうしなければいけない」と杓子定規に考えるのではなく、時には後輩に頼ったり、任せたりすることが、チームのトータルパワーを高めることにつながるということにも気付かされました。調剤室リーダーとして今後、仲間同士、頼って頼られ成長していける、そんな環境づくりにも力を入れていきたいと考えています。

TO MY FUTURE

Myタイムカプセル

5・10年後の私

処方箋の先にいる患者さまを常に意識し、薬学的知識やこれまでの経験をベースとしながら、「何ができるか」と考え続けていきたい。薬剤師ならではの可能性を追い求め、チャレンジしていきたいと考えています。

私なりの仕事の心掛け

調剤こそ薬剤師の基本
処方箋の先にいる患者さまを
意識することを大切に

処方箋の先にいる患者さまの姿を、現在の状況はもちろん、これまで歩んできた人生やその後の生活まで、思い浮かべながら行うのが調剤であり、薬剤師としての本分だと強く感じるようになりました。この処方箋から分析、推測する力を高めることが、臨床現場や薬薬連携など多様なフィールドで薬剤師として活躍する道につながるのだと思います。

学生の皆さんへメッセージ

どんな状況でも
「自分にできること」からコツコツと

就職活動中も、社会人になってからも、自分の思うようにならないことや、計画通りにいかないことはあると思います。そんな時でも、「自分にできること」は必ず何かあります。諦めず、無理せず、どんな小さなことでもいいから「自分にできること」を見付けて、それに一生懸命に取り組めば、きっといつか道は開けます。

オフタイム

コロナ禍で遠出が難しいので、最近では家族みんなで“キャンプごっこ”をしたりしています。家の中にテントを張って、アウトドアグッズで調理して、床に座って食べたりして楽しんでいます。ほかにも運動不足解消に、体を動かすゲームをしたり、公園でサッカーやキャッチボールをしたりして、家族で過ごす時間が一番のリフレッシュです。

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