医師の治療方針を理解する
大切さを知る
当社入社後は、大阪梅田の店舗で約10年間勤務。顔なじみの患者さまも増える中で、一人ひとりのQOL向上にもっと貢献したいと思うようになりました。クリニックモール内の店舗であったため、医師との距離も近く、内科医の依頼で「患者さま向け糖尿病教室」の講師も経験。医師がどんな治療方針をお持ちか、栄養指導や検査値に関する考え方等を知るとともに、患者さまは何を不安に思っているかなど様々な情報を得られ、非常に有益でした。より適切かつ親身な服薬指導を行えるようになり、医師の治療方針を理解した上で患者さまへの服薬指導を行うことが大切と気付くきっかけにもなりました。
しかし、通常の薬局業務で、処方箋から治療方針や処方意図を読み解くには限界があります。では、医師と密なコミュニケーションが可能な病院薬剤師はどうか?病院研修の話を会社からいただいたのは、そんな関心を寄せていた時です。自分の視野を広げ、スキルアップするまたとないチャンスだと思いチャレンジすることを決意しました。
病院の研修生として
半年間の研修に参加
近隣中核病院での半年間の研修は、薬薬連携の一環として行われており、地域医療の質を高めることを目的としています。
研修期間中には、抗がん剤の調製方法などを学び、様々な勉強会に参加し、薬物治療に関わる知識を習得。地域連携を主に学んで欲しいとの会社の意向もあり、地域包括ケア病棟の病棟業務にも携わりました。また、医師・看護師・栄養士・理学療法士・ケアマネジャーなどとのカンファレンスにも参加。入院中の治療内容や患者さまが抱える問題などを共有でき、退院後は薬局にどんな医療や役割が求められているかを知ることができ、自分にとって大きな収穫だったと思います。
特に印象に残ったことは、病院の薬剤部から依頼し、退院時カンファレンスに、患者さまが利用している薬局の薬剤師に同席してもらい、薬物治療や服薬指導に関する引き継ぎが行われたことです。薬薬連携により、病院から在宅へのこのような橋渡しができ、患者さまの治療において大変意義のあることだと感じました。
患者さまのために、
一歩踏み込んだ服薬指導を
現在勤める店舗は、研修先である病院の院外処方箋を主に取り扱っています。薬局長としては3店舗目ですが、研修に参加する前とは心構えが変わりましたね。患者さまのために、薬局薬剤師として自分は何ができるかを常に考えながら業務に臨んでいます。 例えば、治療薬の「吸引指導」の依頼書の添付があれば、正しい手順で行われているかをその場でしっかり確認しています。治療効果を上げるには非常に重要なことですし、依頼書が添付されるということは医師が疑問を持ったということ。病院研修時の勉強会への参加で医師の意図を汲めるようになり、薬剤師としてなすべき役割を果たしています。また、処方薬を飲みきれない患者さまには、理由を聞き、夜の薬を忘れがちといった問題点が発覚した場合は、トレーシングレポートに「夜の薬を朝にまとめられないか検討をお願いします」と提案事項を記載し、病院へフィードバックしています。以前は「忘れないようにしてください」と服用を促すことで終わりがちでしたが、患者さまに最善の治療を受けていただくため、積極的に一歩踏み込んだ行動を起こしています。
薬局長として、薬薬連携を継続し発展させていくとともに、私が研修を通して得た知識を残らずスタッフに伝えていきたいですね。それが、スキルアップの機会を与えてくれた会社への貢献につながると思っています。