株式会社スギ薬局(スギ薬局グループ)

業種 保険(調剤)薬局ドラッグストア(調剤併設含む)その他
2025年取材記事
「専門性」と「現場力」を両輪に薬局薬剤師の新たな可能性を切り拓く。
管理薬剤師 兼 人材開発部 DI課
薬学部 2013 年卒業
私のCAREER
管理薬剤師

管理薬剤師、地区の教育担当を経て、本部で薬剤師教育に携わったのを機に、自らの専門性をより高めたいと各種資格を取得。その専門性を患者さんに還元したいと、志願して店舗に復帰。患者さんのバックグラウンドを踏まえたトータルケアを実践するとともに、地域連携や後進の育成にも注力しています。

13年のCAREER

  • 1~5年目

    入社
    管理薬剤師

    様々な店舗への応援勤務を経験し、多様な診療科の処方への対応力を養う。様々な経験を経て管理薬剤師となり、薬局管理業務の基本を学ぶ。3年目には漢方薬・生薬認定薬剤師の認定を取得。また地区の教育担当や社内研修の講師も務める

  • 6~8年目

    本部 医療教育課に配属
    エキスパートコースリーダー

    本部の医療教育課へ異動し、全社の薬剤師教育システムを設計・企画。学会発表を開始し、「関西腎と薬剤研究会」では評議員として研修会の企画・運営にも参画。大学の非常勤講師も。8年目には社内の「エキスパートコース」(腎臓病チーム)のリーダーに

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    ここがPOINT1

    もともと人に教えることが好きで、教育関連業務には大きなやりがいを感じていました。ただ、研修資料などを作成する中で、その本質を自らが深く理解していなければ表面的な説明に終始し、受講生の心に響く教育はできないと痛感。この内省が、専門性を本格的に追求するきっかけとなりました。

  • 9年目

    NST専門療法士、腎臓病療養指導士、
    糖尿病療養指導士の資格を取得

    本部社員として勤務を継続しながら、かねてより自らの専門領域としたいと考えていた栄養領域や腎臓病領域の学習を深め、NST専門療法士、腎臓病療養指導士、糖尿病療養指導士の資格を取得

  • 10年目~

    志願して現場(店舗)へ異動
    外来がん治療専門薬剤師取得

    培ってきた知識を患者さんに活かしたいと、管理薬剤師として現場へ復帰。がん診療拠点病院の近隣だったことから日本臨床腫瘍薬学会に所属し、がん診療病院連携研修に参加。12年目には外来がん治療専門薬剤師の認定を取得。近隣の病院と定期的に勉強会を開催するなど連携を深めている

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    ここがPOINT2

    資格はゴールではなく、新たなスタートです。「身に付けた専門性を直接患者さんに還元したい」と志願して現場に復帰しました。ライフステージや興味の変化に応じてキャリアチェンジできる環境、そして「やりたい」と声を上げれば挑戦の機会を与えてくれる社風は、この会社の魅力だと感じています。

管理薬剤師として俯瞰力を養い
教育担当として人間力を鍛える

 就職活動の際、生薬化学研究室の恩師から「OTCや漢方の道も向いているのでは」と助言をいただき、ドラッグストアに興味を持ちました。様々なポストを経験することで、多彩なキャリアを積むことができる大手企業に絞り込み、さらに大手ながら患者さんはもちろん、社員に対しても一人ひとりに寄り添い、幸福を追求する企業姿勢に惹かれて、スギ薬局への入社を決めました。
 初配属は耳鼻科の処方が多い店舗で、時折ある他科の処方に戸惑うことがありました。そこで志願して様々な店舗へ応援勤務に出向き、多様な診療科の処方に触れることで実践的な知識と対応力を身に付けました。その後、管理薬剤師に就任。若くして責任ある役割に挑戦し、近隣店舗の管理薬剤師や上長の助けを借りながら困難を乗り越える中で、店舗全体を俯瞰する視座が得られました。
 3年目には地区の教育担当として、複数店舗を巡回し、法令遵守や労働環境の改善をサポート。自分より経験豊富なベテラン管理薬剤師に対し、正論を語るのではなく、相手の状況や背景を理解し、立場を尊重しながら共に解決策を探る姿勢を心掛けました。
 また、社内講師の公募で選出され、100人規模の研修の講師も経験。テキストに書かれていることを咀嚼し、自らの言葉として説明することで、受講者の理解を促すスキルを磨きました。

教育企画で直面した壁を
専門性を磨いて克服

 社内講師の活動が評価され、全社の薬剤師教育を担う本部の医療教育課へ異動。教育プログラムや研修の設計・企画を担当し、研修テキストも一から作成する立場になりました。この時、単に知識を羅列するだけでは受講者の心には響かないと痛感。研修内容について、自らが誰よりも深く理解し、腹落ちさせた上で、テキスト作成の段階から受講者一人ひとりをイメージし、語り掛ける姿勢を意識するようになりました。
 より知識を深めたいと、本格的に各種学会で発表するようになったのもこの時期です。「関西腎と薬剤研究会」では評議員として研修会の企画・運営にも参画するなど活動の幅を広げていきました。さらに当社には資格取得を目指す社員を支援する「エキスパートコース」という独自の制度があるのですが、腎臓病チームが新設されたのを機に、私がリーダーを務めることに。費用面での支援だけでなく、チームとして仲間と切磋琢磨したり、認定を持つ先輩からのアドバイスを聞いたりしながら学びを深められるのが「エキスパートコース」の魅力。月例のミーティングで症例検討や学会活動を共有し、チャットなどでも日々の進捗を報告し合うなど、仲間の存在は大きな支えとなり、学びと業務を両立させる強力な後押しとなりました。腎臓病療養指導士に加え、関連する領域についても同時に学びを進めることで、NST専門療法士、糖尿病療養指導士の資格も取得しました。学びを率先垂範したことで、本部研修の受講生の中から私と同じ資格に挑戦する人が現れたことも大きな喜びでした。

専門的な介入にとどまらず
患者さんの人生に寄り添う

 10年目には志願して現場の店舗に復帰しました。「若手の頃、患者さんの要望に十分には応えられなかった領域も、今なら成果が出せる。その姿は後輩たちのロールモデルにもなるのではないか」。そんな思いから、取得した資格の専門性を現場で活かしてみたくなったのです。
 単に専門的な介入を行なうのではなく、患者さんにはそれぞれ仕事があり、家庭があり、さまざまな生活があることから、一人ひとりの背景に合わせた「画一的ではない支援」を志向。抗がん剤の副作用で手足のしびれに悩む患者さんの職業が美容師なら、仕事に直接影響するため早期からしびれ止めを検討するなど、患者さんが日々を前向きに過ごせるようその方の人生も踏まえたトータルなケアを心掛けています。困り事を遠慮なく相談してもらえる仲のよい友達でありつつ、厳しい指導もできる存在を目指しています。
 あるがん患者さんが在宅緩和ケアの状態となった際には、ご自宅周辺に多くの薬局があるにもかかわらず「あなたでなければ嫌だ」と言われて最期まで訪問を続け、お葬式にまで招かれた時には、薬局薬剤師は人生に寄り添える職業なのだと心から感じました。

絶えず学び続けることで
薬局薬剤師の可能性を切り拓く

 腎臓病やがんの領域での学会発表などにも力を注いでいます。新たな国民病ともいわれる腎臓病に関心を持ったきっかけは、若手の頃に経験したいくつかの”ヒヤリハット”です。例えば、帯状疱疹を発症した小柄な高齢女性に通常の成人量の抗ウイルス薬が処方されており、詳しくお話を伺うと腎機能の低下が疑われたため疑義照会を行ない、投与量を調整してもらいました。こうした経験から、地域には見過ごされている腎機能低下があると感じ、現在は「地域の方々の腎臓を守るために保険薬局薬剤師ができること」といったテーマで講演も行なっています。
 がん、腎臓病、糖尿病、栄養管理など、私の専門領域は互いに根底で結びつき、知識と経験が重なり合ってシナジーを生み出しています。現在は「オンコネフロロジー(がんと腎臓病学)」を学んでいるほか、腎臓病薬物療法認定薬剤師、心不全療養指導士に加え、日本化粧品検定にも挑戦中。がん治療に伴う外見の変化へのケア(アピアランスケア)をメイクでサポートしたいのです。
 学び続けることで、より幅広い患者さんの人生に寄り添うことができ、共に働く仲間の力にもなれると信じています。

TO MY FUTURE

Myタイムカプセル

5・10年後の私

専門性を活かした取り組みを全社・全国に広げ、後進に「こんなキャリアもあるのか」と思ってもらえるようなロールモデルを示したいと考えています。地域包括ケアなどを通じて患者さんに何ができるかを常に考え、群れの中で最初に海へ飛び込む“ファーストペンギン”のように、前例のない領域を切り拓き、薬局薬剤師の新たな可能性を社会に提示することが目標です。

これが成功の分岐点

現場への復帰で開いた
次のキャリアへの扉

私の転機は志願して現場に復帰したことです。復帰先はがん診療拠点病院の近隣にあり、多くのがん患者さんと出会ったことから、がん領域も学習。エキスパートコースのがんチームや日本臨床腫瘍薬学会に所属し、がん診療病院連携研修に参加して、外来がん治療専門薬剤師の資格も取得しました。学んだ知識を患者さんに還元し、地域との連携にも活かしています。

私なりの仕事の心掛け

「顔の見える関係」が
地域に信頼を築く

地域包括ケアにおける多職種との協働では丁寧なコミュニケーションが重要であり、電話やメールだけでなく訪問などを通じて「顔の見える関係」の構築を心掛けています。信頼関係の維持には継続的な交流が必要で、期日を決めて定期的に勉強会を主催するなど仕組み化しています。

学生の皆さんへメッセージ

「自分の興味」を大切にして
「どこで、誰に、どう貢献したいか」を考えよう

まず「自分の興味」を大切にしてください。それを起点に義務的ではない自発的な学びを積み重ねていくことが、専門領域の持続的な深掘りへとつながります。また「どこで、誰に、どのように貢献したいのか」を自分の言葉で語れるようになると、日々の行動や選択の指針となり、キャリア形成の軸にもなるでしょう。

オフタイム

小学校のおやじの会会長として、世代や職業を超えた多様な人たちと協力し、だんじり祭りをはじめとする地域行事に取り組んでいます。子どもたちに「誇れる父」としての背中を見せることが何よりの喜びです。日々の仕事に全力で臨めるのは、家族の理解と支えがあってこそ。その感謝の思いも込めて、年に一度は家族旅行を計画し、日常を離れて自然や文化に触れながら、共に過ごすかけがえのない時間を大切にしています。

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