独立行政法人地域医療機能推進機構 中京病院

業種 病院
2024年取材記事
がん患者さんに寄り添うとともに 臨床研究などを通じて 新たなエビデンス構築にも挑みたい。
薬学部 2012 年卒業
私のCAREER
主任/がん専門薬剤師

病棟業務のほか、糖尿病教室や地域連携吸入指導の会など幅広い業務を経験し、またがん患者さんと接する中でがん専門薬剤師の資格取得を決意。外来化学療法室やレジメン審査会議の事務局など、活動の場を広げています。

13年のCAREER

  • 1年目

    入職
    中央業務を担当

    プリセプターの指導のもと、調剤室・注射室で調剤・処方箋監査など中央業務に従事し、薬剤師としての基礎を築く

  • 2年目

    呼吸器内科や消化器内科での
    病棟業務を担当

    呼吸器内科・内分泌糖尿病科病棟に配属され、抗がん剤の説明や糖尿病教室、地域連携吸入指導の会への参加などに携わる。初めての学会発表も経験

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    ここがPOINT1

    知識も大切ですが、正確な知識を得るための調べ方や確認の仕方も大切だと痛感。どう調べれば、どういう答えを得られるのか、どういう文献にあたればよいのかなど、数を重ねるうちに調べる技術も上がり、短い時間で欲しい情報にアクセスできるようになりました。

  • 5年目

    消化器内科病棟~
    抗がん剤のミキシング・監査を担当

    消化器系のがんに対する経験を増やしたいと希望して、消化器内科病棟に異動。がん専門薬剤師の資格取得を視野に、医師主導のカンファレンスにも積極的に参加。7年目からは中央業務に戻り、抗がん剤のミキシング・監査を担当

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    ここがPOINT2

    カンファレンスに参加する中で、医師の診察に対する方針を知ることができただけでなく、徹底したエビデンスの精査など、そのアプローチの姿勢にも大いに刺激を受けました。

  • 8年目

    がん専門薬剤師の資格取得
    外来化学療法室での業務開始

    がん専門薬剤師の資格を取得し、外来化学療法室での業務も開始。5年目から携わってきたレジメン審査会議の事務局もメインで担当するようになる

病棟業務を早期から確立
雰囲気のよさも決め手に

 私が入職した2012年から病棟業務実施加算が新設されるなど、薬剤師の病棟常駐が進展する中、カルテを通じて医師の治療方針をはじめ他職種の考え方を共有しながら、治療に積極的に介入していきたいと考え、病院への入職を希望。なかでも中京病院は1998年から全病棟に薬剤師を配置するなど病棟業務を早期から実施し、1病棟1薬剤師担当制をとるなど他職種との関わりも強いことが魅力でした。実際に見学した際に、職員が笑顔で対応してくれるなど雰囲気もよかったことも入職の決め手になりました。
 1年目は調剤室・注射室などの中央業務をローテーションして幅広く学び、薬剤師としての基盤を築いていきました。年の近い先輩がプリセプターとして付いてくれ、業務はもちろん、細かな院内ルールなどについても丁寧に指導してくれたのが心強かったです。

学会発表や糖尿病教室
地域連携吸入指導の会も経験

 2年目からは呼吸器内科・内分泌糖尿病科病棟に配属され、抗がん剤など多様な薬について患者さんに説明したり、他職種からの質問に答えたり、一つひとつ丁寧に対応していきました。もともと人見知りで、どうすれば信頼関係をつくれるのか不安があったのですが、質問されてわからなかった時には、すぐに調べて対応するということを繰り返す中で、知識も確実に増え、信頼も自然と得られるようになっていきました。肺がんをはじめ、呼吸器系のがん患者さんに抗がん剤の副作用について説明する機会も多く、がん領域の知識を深めたいと勉強にも熱が入るようになりました。
 また、毎月の外来患者さん向けの糖尿病教室では、薬剤に関する注意などを中心に説明をしたり、当院だけでなく他病院や地域の薬局も参加する地域連携吸入指導の会では、吸入指導の方法について講演したりと、病棟以外の場所でも他職種や院外の人と交流する機会もあり、大いに刺激を受けました。ちょうどその頃、初めての学会発表も経験。症例報告だったのですが、他施設の人と話をする中で、自分にはなかった視点や気付きもあり、自分から発信することが新たな知見を得るきっかけにもなるということを実感しました。

がん専門薬剤師の
資格取得でさらなる成長へ

 がん専門薬剤師の資格を持つ先輩薬剤師と一緒にレジメン審査会議の事務局を担当するようになったこともあり、自分も資格取得を考えるようになりました。そこで消化器系のがんに対する経験を増やしたいと希望して消化器内科病棟に異動し、医師のカンファレンスにも積極的に参加し、知識を深めていきました。
 7年目からは中央業務に戻り、抗がん剤のミキシング・監査を担当しながら、資格取得に向けた50症例の準備などを進めていきました。過去のカルテを見直し、これまで関わってきた症例を改めて整理する中で、いかにエビデンスに基づいた対応が重要かを再確認するとともに、自身の成長の軌跡も振り返ることができました。
 8年目には無事、がん専門薬剤師の資格を取得することができ、外来化学療法室での業務も開始しました。資格を取得したことで、他職種から質問されることも増え、それに正確に答えるために添付文書を確認したり、文献を調べたりすることで、さらに知識も増えるというよい循環が生まれていると感じています。またレジメン審査会議では、医師からの申請書に根拠となる論文や資料が付けられていることも多く、より広い視野や知識を養うことができています。

患者さんに寄り添うとともに
知識を広く還元できる薬剤師へ

 現在はがん薬物療法を主に担当し、毎日、外来化学療法室で診察後の患者さんの面談、服薬に関する指導や、医師への処方提案などを行っています。患者さんから医師には伝えていない副作用症状の訴えや相談があり、医師に報告、処方提案を行ったことで、副作用が軽減され治療の継続が可能になった時には、大きなやりがいを感じます。また、医師や看護師から投与量・投与方法の相談や副作用の対応について質問や相談された時には、「自分の知識や意見が求められている、皆から信頼されてもらっている」と嬉しく思うと同時に、「曖昧な回答はできない」と気も引き締まります。
 今後は院内で症例検討会を開催し、がん領域に興味を持つ人を増やしたり、誰もが自信を持ってがん患者さんに対応できたりするようにしていきたいと考えています。また院内に限らず、他施設と協力して臨床研究をしたり、論文として発表したりして、新たなエビデンスの一助となるようなことに取り組んでいきたいと考えています。

TO MY FUTURE

Myタイムカプセル

5・10年後の私

臨床研究などに携わり、新たなエビデンス構築の一助になるようなことに取り組みたいと思っています。がん指導薬剤師の資格取得の要件でもある論文発表にもチャレンジしたいです。また、自分が長期不在時でも業務の質を落とすことのないような体制・システム構築もこれからの課題だと考えています。

これが成功の分岐点

何事にもどんな相手にも
誠実に対応することを大切に

患者さんの近くで細やかなフォローをしたいと考え、病棟業務を志望していたものの、人見知りの性格で、最初はどうすれば他職種からの信頼を得られるのか、わからずにいましたが、まずは自分にできることをするしかないと、寄せられた質問や相談に一つひとつ丁寧に対応していきました。そうすることで自然と関係性を構築することができ、何事にもどんな相手にも誠実な対応をすることが、たとえ時間がかかったとしても信頼を獲得する唯一の方法だと改めて思うようになりました。

私なりの仕事の心掛け

曖昧な回答はしない
意見を押し付けないことを留意

わからないことを放置せず、しっかり調べて正しい情報を他職種や患者さんに提供するよう心掛けています。曖昧な回答はしない、自分の意見をしっかりと持つが、相手に押し付けることはせず、意見交換や議論をする、ということを意識しながら業務にあたっています。

学生の皆さんへメッセージ

幅広い年齢の人と関わり
いろいろな考え方に触れる機会を

対物から対人へと薬剤師の業務がシフトしてきているため、アルバイトやサークル、ボランティアなどで幅広い年齢の人と関わり、いろいろな考え方に触れておくとよいと思います。職場選びについては、少しでも興味のあるところは積極的に訪問し、働いている人と直接話したり、雰囲気を感じたりすることをおすすめします。

オフタイム

子どもが4人いるので、休日は習い事の送り迎えや
家事などをしています。夏休みは家族でUSJに行き、
大いに楽しみました!
小学校から大学まで続けてきた剣道を、
子どもが開始したのを機に再開。
子どもたちに教えながら自分も道場対抗試合に出場しています。

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