横浜市立大学附属病院

業種 病院
2023年取材記事
臨床・教育・研究の3領域に取り組み、一人でも多くの患者さんに貢献できる薬剤師へ。
薬剤部 グループリーダー
薬学研究科 2022 年修了
私のCAREER
グループリーダー

自身の取り組みや研究成果を発信することで、より多くの患者さんに貢献したいと、病院での勤務を続けながら大学院に進学し、薬学博士を取得しました。現在は、グループリーダーとして後進育成にも力を注ぐなど、臨床・教育・研究の3領域での取り組みを進めています。

10年のCAREER

  • 1年目

    調剤業務や
    病棟業務に従事

    基本となる調剤業務について徹底して学ぶのに加え、注射薬や抗がん剤調製なども一通り経験するとともに、耳鼻科や脳卒中科、眼科、口腔外科など、さまざまな病棟での業務を通じて、幅広い知識を養い、薬剤師としての基礎を築く

  • 3年目

    血液内科のある病棟を担当
    学会発表など発信にも注力

    血液内科のある病棟を担当するようになり、化学療法への理解を深めようと、学会への参加や論文の査読などにも積極的に参加。学会やシンポジウムで発表するなど、情報発信にも力を入れる

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    ここがPOINT1

    初めて学会発表をしたのは2年目の時で、先輩にサポートしてもらいながらでしたが、3年目以降は自主的に発表するようになり、今までに10回以上の発表をしてきています。発信力を高めることで、人脈も広がり、視野も広がったと感じています。

  • 5年目

    大学院へ進学

    研究メソッドを学びたいと、病院での勤務を続けながら大学院に進学。1~2年目は月3~4回の授業に出席し、3年目は卒業研究を臨床現場で行う。大学教授のサポートのもと、初めて英語論文を発表

  • 8年目

    大学院卒業
    グループリーダーに

    大学院を卒業し博士号を取得。各病棟で働く後輩職員のサポートを行うグループリーダーに就任。若手薬剤師向けのスキルアップカンファレンスの講師として、研究メソッドや学会発表の仕方などを伝える活動も行う。がん薬物療法専門薬剤師の資格も取得

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    ここがPOINT2

    社会人をしながらの通学だったので大変だっただけに、やり遂げたことが自信になりました。同時に、恩師からの「学位を取得してやっとスタートライン」という言葉を肝に銘じ、自分自身の学位に恥じぬよう、臨床・教育・研究に取り組みたいと改めて感じました。

進路先は幅広い領域を学べ
病棟業務を行っていることを重視

 薬剤師の職能を活かして患者さんと直接関わりたいと、病院、保険薬局、ドラッグストアなど幅広く検討していたのですが、決め手になったのは、病院での実務実習での経験でした。小児患者さんと接する機会があり、その子が名前を覚えてくれて、最後に「勉強頑張って」という手紙をくれたことが強く印象に残りました。高い専門性と人としての温かいケアと、双方を発揮して、多くの患者さんの役に立てる薬剤師になりたいと思うようになり、幅広い分野の知識を学べる大学病院への入職を志望。なかでも横浜市立大学附属病院は、私の地元でもある横浜市の唯一の特定機能病院として、高度な医療に取り組んでおり、薬剤師として多種多様な疾患を学ぶことができることや、病棟業務にも積極的に取り組んでいることから、入職を決めました。
 入職1年目は、まずは調剤の基本や業務に関するルールなどを学ぶことから始め、後半からは病棟にも行くようになり、中央業務と病棟業務とを並行して学びました。実際の患者さんを目の前にして、どのように薬が使われているか詳しく知ることができ、また薬剤師としての責任を強く感じ、学ぶ意欲も吸収スピードも高まりました。耳鼻科や脳卒中科、眼科、口腔外科など、さまざまな病棟を1~2年目のうちに経験し、カンファレンスにも参加する中で、知識の幅も広がりました。

血液内科領域への学びを深める中で
薬剤師教育の重要性を痛感

 3年目からは血液内科がある病棟に配属されました。もともとがんについて学びたいという気持ちがあったのですが、最初のうちはそのハードルの高さに圧倒されることも。いわゆる参考書として書店に並んでいるものだけでは対応できず、積極的に学会に参加したり、さまざまな論文を読んだりして、理解を深めていきました。そうした努力の甲斐があって、次第に医師から薬の投与量を相談されたり、患者さんからも頼られたりするようになり、やりがいも大きくなっていきました。
 学会シンポジウムでの発表など、発信することに力を入れるようになったのもこの頃です。自分が日々取り組んでいることをデータとしてまとめて広く発信することで、間接的に多くの患者さんに貢献できると身をもって知り、薬剤師教育の重要性を改めて認識しました。

社会人と大学院とを両立し
博士号を取得

 入職5年目には、博士号の取得を目指し大学院に進学することを決意。医学博士を持つ医師が多い中で、私も同じ土俵に立って他職種連携をより緊密なものにしていきたい、また研究の方法論についても学び発信力を高めたいというのが進学を決めた理由です。病院での勤務との両立は簡単ではありませんでしたが、それだけにやり遂げたことは大きな自信になりました。もちろん、薬剤部長をはじめ上司や同僚も応援してくれ、また結婚したばかりでもあったのですが、家族も支えてくれるなど、周囲の理解があったからできたことでもあります。自分が大学院で学んできたことを臨床・教育・研究に活かし、より多くの患者さんに貢献できるよう取り組んでいくことで、その恩に報いたいと考えています。
 また、資格取得に積極的に取り組み、がん薬物療法専門薬剤師をはじめ、抗菌化学療法認定薬剤師、老年薬学認定薬剤師などの資格も取得しました。学位や各種資格を取得したことで、がん治療におけるチーム医療の勉強会に参加したり、院外の薬剤師や介護士に向けたセミナーで講師を務めたりするなど、活動の幅も広がりました。

グループリーダーとして
病棟支援や後進育成に注力

 現在は外来での化学療法の処方確認や患者さんへの指導を行いながら、グループリーダーとして病棟業務の支援や後進育成、さらには化学療法のレジメン作成や、より安全に化学療法を行うための仕組みづくりなども行っています。院内勉強会では研究の基本メソッドや、学会発表の仕方についても紹介し、また後輩と一緒に学会発表をするなど、臨床能力と科学的考察力の双方の強化をサポートするようにしています。私を見て、自分も学位を取ってみようと思う、そんなロールモデルの一つになっていければと考えています。
 そして将来的には、臨床で使用される診療ガイドラインの作成に携わり、一人でも多くの患者さんが効果的かつ安全な治療を受けられる環境づくりに貢献したいと考えています。

TO MY FUTURE

Myタイムカプセル

5・10年後の私

5年後の目標は臨床能力を高め、がん専門薬剤師を取得し、国際的な学会で発表できるような研究に参加すること。10年後の目標は、がん領域を究めたい薬剤師を教育できるようになることです。さらに大きな夢としては、広く薬剤師教育・臨床で使用される診療ガイドライン作成への参加、薬物動態に基づく臨床研究などを通して、一人でも多くの患者さんの医療に貢献したいと思っています。

これが成功の分岐点

薬剤師として役に立ちたいという思いを
貫くことで活躍の場が広がった

薬剤師として人の役に立ちたいという思いは、病院実習で小児患者さんと触れあった時から一貫したもの。その思いをモチベーションとして、知識や人脈を広げたいとさまざまな学会に参加し、資格取得にも積極的に挑戦。がん薬物療法専門薬剤師のほか、抗菌化学療法認定薬剤師、老年薬学認定薬剤師なども取得しました。最近では、がんに関連する学会で、1,200名の聴衆に発表したり、院外薬剤師・介護士向けのセミナーで話したりする機会も増え、活躍の場が広がったと感じています。

私なりの仕事の心掛け

「どうしたらできるのか」と前向きに考え、
行動することを基本に

常に意識しているのは、「自分がその場・その時にできることは何なのか」と考えることです。できない理由ややらない理由を考えるのではなく、「どうしてたらできるのか」という前向きな姿勢で業務に向き合うことで、開ける道が必ずあると信じています。

学生の皆さんへメッセージ

就職活動は視野を広げるチャンスと
とらえて積極的な活動を

職場選択では、業界業種を最初から絞らずに、さまざまな企業の説明を聞くことが大切だと思います。社会人になると他の会社や職場の話を聞くことができないため、就職活動は自分の視野を広げるチャンスです。また、どのような薬剤師になりたいのか、患者さんにどのように貢献したいのかと考えた時の想いを、社会人になっても忘れず持ち続けてほしいと思います。

オフタイム

休日は家族と過ごす時間を大切にしています。日々、成長する子どもの姿を見ることが楽しみで、それがオンオフの切り替えにもつながっています。
また夏休みは南の島に旅行。妻がダイビングをするので、新婚旅行はタヒチに行きました。最近では沖縄に家族で行くなど、眩しい陽光の下、ゆっくり過ごすのが毎年の楽しみです。

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