神戸市民の安全を支える
大きなミッションに共感
大学時代に神戸市主催の薬物乱用防止イベントに参加したことをきっかけに、市民全体の健康を支えるという仕事に魅力を感じ入庁を希望しました。
1年目に配属されたのは、食品衛生検査所。市内に流通するあらゆる食品の拠点となる神戸市中央卸売市場内にあります。ここに集まる食品の安全性や衛生状態を監視・検査し、改善点があれば指導する仕事に従事しました。早朝セリが始まる前に市場の仲卸店舗を順々に見て回り、有毒性のある魚介類がまぎれ込んでいないか、温度管理がなされているか、食品の表示が法令に準じているかなどをチェック。有事の際には仕入れた商品の調査や必要に応じた措置をするため、事業者の方々への対応には大きな配慮が必要です。普段から交流を深めて話しやすい雰囲気づくりを心がけるとともに、「なぜ販売できないのか」「どう改善すればいいのか」を丁寧に説明し、改善ポイントをきちんと示して納得してもらえるよう努めました。
自ら課題を見つけ、
改善策やアイデアを形にする楽しさ
入庁してすぐの頃、上司から言われて印象に残っているのが「仕事は受け身ではなく自分で課題を見つけ、積極的にソリューションを提案してほしい。こちらもサポートは惜しまないから」という言葉です。4年目に入り、さらに期待に応えるべく自ら研究に着手。魚介類の水銀含有量測定にあたり、技術論文を参考に新たな検査手法の確立にチャレンジしました。既存のものより簡単で精度の高い方法はないかと、何度も条件を変えて実験を重ねた結果、現状の課題を解決する手法を確立することができました。また翌年には、流通している魚介類の中にアニキサスがどの程度寄生しているかの実態を調査し、レポートにまとめて研究発表会で発表。食品衛生監視員が事業者へ監視指導する際に、役立つ情報として非常に喜ばれました。自ら課題を発見し、アイデアや改善策を考え、結果を出す…その楽しさと喜びを実感できた貴重な経験でした。
神戸市以外の自治体が絡む
食のトラブルを解明する
6年目に本庁の生活衛生課へ異動。国(厚生労働省、消費者庁)や関係自治体との連絡調整や、市内の衛生監視事務所との連携が主な業務です。例えば、他都市で発見された違反食品が神戸市内のメーカーの製品である場合には、管轄の衛生監視事務所に調査を指示したり、逆に神戸市民から食中毒との申し出があった際に、その原因究明や再発防止のため関連自治体に調査を依頼したりするのが私の役割です。問題のある食品の原因が判明し、再発防止策が講じられた時は、市民の安心安全に貢献できた達成感を味わえます。
本庁では国や他の自治体職員と関わる機会が多く、相手の意図を汲み取るとともに、自分の真意を正確に伝えることを今まで以上に意識するようになり、「働きやすい環境は自らつくっていくものだ」と実感しました。
8年目を迎える現在は、保健所の衛生監視事務所に異動。食品衛生法、理美容所や旅館業などの生活衛生関係営業、狂犬病予防法に関する市民や事業者の方からの相談や調査業務に携わっています。事業者に指導や助言を行う際には、法的根拠を常に意識し、「なぜそうする必要があるのか」を相手にもわかりやすく伝えるように心掛けています。今後も相談者に納得してもらえる説明や助言を追求し、幅広い知識の習得に努めていきたいと思います。