様々なキャリア~目標とする働き方~
豊橋市民病院
インデックス
病院薬剤師として「今できること」 「これから求められること」を常に見据えて。
多様な業務を経験し 幅広い土台を築く
薬剤師のキャリアを当時の国立病院で研修生としてスタート。早期から病棟業務を導入するなど先端をいく医療現場で、先輩薬剤師からあたたかくも厳しい指導をいただき、医療人として、また社会人としての土台を築くことができました。また院外処方への移行に伴うシステム構築を間近で見ることができたこともよい経験になりました。 研修期間終了後は、基幹病院として地域医療の中心的な役割を果たしている豊橋市民病院に入職しました。調剤、医薬品情報、注射調製、製剤、薬品管理・注射、さらに治験管理センター開設時には、治験コーディネーターとして活躍するなど、一通りのセントラル業務を経験。知識をより厚みのあるものにしていきました。 これらと並行して、消化器内科、呼吸器内科、腎臓内科、循環器内科などの病棟業務も担当。さらにNST(栄養サポートチーム)の活動にも参加するなど、幅広く経験しました。
より発信力を高め 糖尿病を未然に防ぐ啓発活動にも力を入れたい。
「同じ失敗はしない」と
強い気持ちで勉強に励む
糖尿病療養指導士の存在自体は学生時代から知っていましたが、意識するようになったのは、豊橋市民病院に入職して2年目に糖尿病教育入院を行う病棟を担当するようになってから。実は1年目の頃に、インスリン注射手技の指導で失敗するという苦い経験をしました。ずっとそれが心の中にしこりとして残っていて、糖尿病教育入院の病棟を担当すると決まった時には、「今度こそ、しっかり勉強して絶対に同じ失敗は繰り返さない」と、強い意欲を持って臨みました。 糖尿病と一口に言っても、その症状も、治療ポイントも、人によって違います。そのため、検査データなどの数値にとどまらず、患者さんのご家族や生活スタイルなどの背景、さらには心理状態までしっかりと把握し、適切な指導をしていくことが求められます。 最初は、患者さんの心理面にまで配慮できずに画一的な対応をしてしまったり、多職種からなる糖尿病チームの中で自分が求められている役割への認識が浅く、連携が不十分だったりすることも。様々な患者さんに接し、経験を重ねるうちに、副作用の確認にとどまらず、患者さん一人ひとりに合わせたより積極的な介入もできるようになり、薬物療法を継続するために必要なことを他職種と確認しあうなど、連携も深まっていきました。日本糖尿病療養指導士の受験申請要件には、「1、000時間以上、糖尿病患者の療養指導を行ったこと」というのがあるのですが、チームの中での自身の役割を認識し、患者さん一人ひとりに合わせた、いわばオーダーメイドで介入できるようになるまでには、やはりこのくらいの時間が必要ということなのだと思います。
幅広い知識と経験を身に付け 地域医療の発展に貢献したい。
「生涯研鑽」を胸に刻み 着実にステップアップ
大学卒業後、調剤併設型ドラッグストアで3年間勤務する中で、広がりつつある在宅訪問業務をしていくためには、きちんとカルテを読み取り、患者さんの状況を正確に把握し、医師に処方提案をしていく力が必要になると痛感しました。そこで、臨床研究力を身に付けられるよう、一から勉強し直したいと大学病院に入職。調剤・製剤の基本をまず徹底して学んだ後、病棟業務を行う傍ら臨床研究にも注力しました。 今も心に刻まれているのは、当時の先輩に言われた「薬剤師は生涯研鑽が当たり前」という言葉です。わからないことはまず自分で調べ、それでもわからなければ先輩に聞くなど、一つひとつ対処していくようにしていました。また、「一次資料」となる出典論文を確認することの重要性も学びました。知識に厚みが増すに伴い、説得力も増し、より自分の考えや思いを実現しやすく、「何を聞かれても大丈夫」という自信につながります。 さらに、薬局での勤務経験を活かして「薬局と病院の連携」をテーマに学会発表も実施。学会に参加する中で、同じ課題や悩みを抱える人と出会い、意見交換することで突破口が見つかることもあり、多様な職種や価値観の人と交流することの重要性を実感しました。