独立行政法人国立病院機構 東海北陸グループ

業種 病院

資格取得

日本病院薬剤師会 がん薬物療法認定薬剤師
2023年取材記事
専門性とジェネラリストを兼ね備え、
患者さんによりメリットを提供できる薬剤師へ。
国立病院機構 東名古屋病院 薬剤部 薬務主任
薬学研究科 2008年修了

がん医療の最先端施設で 研修することを選択

 大学院で臨床技能コースを選択し、1年半にわたって医師のもとで研修を積みました。なかでも血液内科に長く携わってきたことから、国立病院機構 名古屋医療センターに入職してからまずは血液内科病棟に配属されました。一人の患者さんのために多職種が密に連携し、例えば造血幹細胞移植の場合など、カンファレンスで真剣に議論を交わすチーム医療の現場にあって、薬剤師として何ができるのかと改めて自身と向き合うようになりました。
 医師は皆、専門分野を持ち、日々専門性に磨きをかけ、患者さんの診療に当たっています。その医師から資格取得を勧められたこともあり、がん薬物療法認定薬剤師の資格取得にチャレンジすることを決意しました。
 同資格取得の条件の一つとして、〝認定された研修施設で実技研修を3ヶ月以上履修していること〟とありますが、当時、自施設は研修施設ではありませんでした。そこで、「せっかく他施設で研修するなら、最先端のがん医療を間近に見られるところに行こう」と、わざわざ千葉の国立がん研究センター東病院まで行くことに。これまでに扱ったことのない疾患を勉強する機会を得て、幅広い知識を身に付けることができたほか、患者さんへの熱い思いを胸に、薬剤師がチーム医療の一員としてしっかりと機能している姿を見て、大いに刺激を受けました。

海外の学会での発表や論文作成 後進指導などにも尽力

 研修から戻ってからは外来化学療法センターに配属され、化学療法委員会の一員として、より患者さんにメリットを提供できるよう、活動を深化させていきました。
 50症例の提出に当たっては、カルテを改めて見直し、過去の関わりを振り返ることで、自身の成長を感じるとともに、知識の定着にもつながり、有意義な時間となりました。
 資格取得後は、国立病院機構内で東名古屋病院に転勤となり、化学療法委員会の立ち上げに関わったほか、現在は副委員長として運営に当たるなど、活躍の場も広がってきています。そのほか、レジメンシステムの導入や曝露予防システムの見直し、医療者同士の情報共有を深めるため、ミスの未然防止につながるがん治療計画書の作成など、さまざまなツールづくりや看護教育にも尽力。また臨床の疑問を研究につなげ、海外の学会で発表したり、論文作成したりと、情報発信にも積極的に取り組んでいます。
 今後もがん医療で得た知識を生かして後進指導をしていくとともに、ジェネラリストとしての能力を高められるよう、新たな領域に挑戦していきたいと思います。

ADVICE

後輩の皆さんへアドバイス

後輩のみなさんへ アドバイス

大学院時代の病院実習で、血液内科病棟を担当したことで、入職後も同病棟に配属され、その後もがん医療に携わるようになりました。病院実習での関わりや患者さんとの出会いが、キャリアを大きく左右することもあるので、ぜひ積極的に取り組んでほしいと思います。

がん薬物療法3年以上従事、指導実績50症例以上などが条件
  • 学会入会

    日本病院薬剤師会の会員になる
  • 実務経験

    薬剤師実務経験が3年以上
  • 実技研修

    日本病院薬剤師会が認定する
    研修施設で実技研修を履修
  • 講習会

    日本病院薬剤師会が認定する
    がん領域の講習会、および
    学会が主催するがん領域の講習会
    などを40時間、20単位以上履修
  • 申請・試験

    がん患者への薬剤管理指導の実績
    50症例以上(複数のがん種)を提出
取得方法

がん薬物療法認定薬剤師の資格取得には次の条件を満たす必要があります。(1)薬剤師としての実務経験を3年以上有し、日本病院薬剤師会の会員であること。(2)日病薬病院薬学認定薬剤師であること。ただし、日本医療薬学会の専門薬剤師制度により認定された専門薬剤師であればこれを満たす。(3)病院または診療所に勤務し、がん薬物療法に3年以上、かつ、申請時に引き続いて1年以上従事していること。(4)日本病院薬剤師会が認定する研修施設において日本病院薬剤師会が定める実施要綱・コアカリキュラムに基づく実技研修を履修していること、または、研修施設において3年以上、がん薬物療法に従事していること。(5)日本病院薬剤師会が認定するがん領域の講習会、及び別に定める学会が主催するがん領域の講習会などを所定の単位履修していること。(6)がん患者への薬剤管理指導の実績50症例以上(複数の癌種)を満たしていること。(7)日本病院薬剤師会が行うがん薬物療法認定薬剤師認定試験に合格していること、などの条件があります。

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