愛知県厚生農業協同組合連合会 安城更生病院

業種 病院
2022年取材記事
幅広い知識と患者さんに寄り添う姿勢で 安心して薬物治療に臨める環境をつくりたい。
薬剤部 中央医薬情報室
薬学部 2013 年卒業
私のCAREER
DI担当 兼 外来服薬支援

DI(医薬品情報)業務や患者さんへの服薬支援業務で得た幅広い疾患や薬に関する学びを薬物療法専門薬剤師という資格取得につなげていきたい。同時に、患者さんへの服薬支援はもちろん、後進指導にもしっかりと自身の知識や経験を還元し、薬物治療の向上に貢献していきたいと思います。

10年のCAREER

  • 1年目

    調剤、外来患者への
    服薬指導などを担当

    調剤業務、抗がん剤調製に加え、抗がん剤・オピオイドを服用する外来患者さんへの服薬指導や副作用モニタリングを実施。薬剤師としての基礎を築く

  • 2年目

    DI業務を担当
    妊娠・授乳婦サポート薬剤師

    中央医薬情報室に配属され、DI業務のほか、薬事審議委員会の事務局として新薬やガイドラインの情報を扱うとともに、医療従事者からの問い合わせに対応。3年目には妊娠・授乳サポート薬剤師の資格を取得

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    3年目に初めて学会発表を経験。上司のアドバイスや発表後の質問などを通じて、新たな気付きも得られ、刺激を受けました。5年目からは毎年発表することを敢行し、成長につなげています。

  • 6年目

    病棟業務を担当

    6年目はDI業務と並行して、整形外科、脳神経内科、脳神経外科、内分泌・糖尿病内科の病棟業務を担当。7年目は循環器内科、心臓血管外科、呼吸器外科の病棟業務に専従

  • 8年目

    DI業務
    外来患者への服薬支援業務を担当

    DI業務と外来患者さんへの服薬支援業務に復帰。病棟業務での経験などを活かしながら、学会発表や論文作成にも注力

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    病棟業務の中で持参薬の鑑別などを通じて、ポリファーマシーの問題にも直面。より納得して服用してもらえるよう、「なぜ飲まなければいけないか」「どうすれば忘れずに飲み続けられるか」、患者さんに寄り添った服薬支援を心掛けるようになりました。

  • 10年目

    パーキンソン病療養指導士の
    資格取得

    パーキンソン病療養指導士の認定制度の新設を受けて、一期生として資格を取得。さらに医療薬学会薬物療法専門薬剤師および指導薬剤師の資格取得に向け、さらなる自己研鑽に取り組む

安全かつ有効な薬物治療に
尽力する病院薬剤師の姿に共感

 実務実習先が安城更生病院で、内分泌・糖尿病内科と血液・腫瘍内科の2病棟を経験させてもらいました。その際に、薬剤師がまさにベッドサイドで服薬指導をしている姿を見て、私も患者さんの安全かつ有効な薬物治療に貢献できる病院薬剤師になりたいと強く思いました。また、指導担当の先生からいろいろなことを丁寧に教えてもらい、「この安城更生病院でなら、幅広い知識を習得できる」と、入職を希望しました。また、いずれ自分も学生や後進に指導し、育成する側に立ちたいという思いも芽生えました。
 入職1年目は、まずは徹底して調剤の基本を学ぶことからスタート。抗がん剤の調製なども行い、さらに抗がん剤やオピオイドを服用する外来患者さんへの服薬指導へと業務も幅を広げていきました。

妊婦・授乳婦さんに安心して
薬を服用してもらえるよう資格を取得

 2年目からは中央医薬情報室に配属され、外来患者さんへの服薬支援業務と並行してDI(医薬品情報)業務を担当。薬事審議委員会の事務局を兼ねているため、新薬を含めて病院で採用する薬の選定から、採用された後の院内全体への情報提供や、医薬品に関わる院内向け情報誌の作成なども行います。様々な領域の最新医療情報に触れることができ、とても勉強になりました。
 妊婦・授乳婦の患者さんからの薬の相談を受ける中で、その対応の難しさを痛感。お子さんの健康を何より優先に考えるため、「安全な薬です」とお伝えしても、不安を拭いきれず、服用したがらないケースも。一方で、妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師の資格を持つ上司は、他職種からの問い合わせにも、的確かつ説得力のある対応をしていて、私も資格を取得しようと決意しました。参考書の見方、調べ方なども丁寧に指導していただき、無事に資格を取得。勉強を重ねたことで、どこに不安を感じているのか、相手の立場になって考え、よりポイントを押さえた説明ができるようになりました。

患者さんに寄り添う姿勢を貫き
生活スタイルに応じた処方提案も

 知識や経験の幅を広げたいと自ら志願し、6年目から病棟業務を行うことに。2年間で、整形外科、脳神経内科、脳神経外科、内分泌・糖尿病内科、循環器内科、心臓血管外科、呼吸器外科と7つの診療科を回り、病棟での経験を積みました。
 8年目からは、再びDI業務と外来患者さんへの調剤・服薬支援業務に戻ったのですが、病棟で多職種と間近に接したことで、質的変化も生まれました。例えば、情報提供する際には、今まで以上に「現場で本当に必要としている情報は何か」、「どう提供すればより役立つのか」と考えるようになりました。
 また持参薬の確認などを通じて、薬を飲めていない患者さんも少なくない現実を目の当たりにしたことで、外来患者さんに薬をお渡しする際に、「なぜ飲まなければいけないのか」という「目的」に、より力を入れて説明したり、生活サイクルに合った服用の仕方を患者さんと一緒に考えたりするようになりました。寄り添う姿勢が伝わったのか、「次も山本先生でお願いします」と外来患者さんから指名されることも増えてきています。

資格取得を通じた自己研鑽
後進の指導・育成にも注力

 10年目にはパーキンソン病療養指導士の認定制度が新設されたのを受け、第一期生として資格を取得しました。以前から薬剤師外来を通じて重度のパーキンソン病の患者さんと接する中、薬だけでなく、リハビリや食事など多様な悩みを抱え、「相談できる人がいない」と訴える方も多く、少しでも力になりたいと思っていました。資格取得に向けた研修では、医師や理学療法士、看護師、栄養士など多職種からの講義を受け、多角的な視点を養うことができました。多職種連携の実効性を上げるには、薬剤師に求められることを理解し、それを磨くことはもちろん、相手の領域について知ることも重要だと改めて思いました。最近では、日本神経学会でパーキンソン病患者さんへの薬剤師としての関わり方について、症例を交えた発表を行うなど、情報発信も積極的に行っています。
 また、薬物療法専門薬剤師や指導薬剤師の資格取得にも挑戦すべく、症例報告の作成や論文執筆を行うなど準備を進めています。すでに指導薬剤師の条件となる論文3編の発表は済ませているのですが、統計の取り方や掲載する表の作り方など学ぶことも多く、さらなる知識習得につながりました。私が指導薬剤師を目指すモチベーションはただ一つ、後進のためです。というのも、薬物療法専門薬剤師の資格取得には、「薬物療法専門薬剤師研修施設」での研修歴が必須となるのですが、この研修施設に認定されるには、指導薬剤師がいることが条件になります。私が薬物療法専門薬剤師になる道が開けたのも、勤務する安城更生病院が研修施設に認定されていたから。先輩の後を継いで、今度は私が後進の成長をサポートできるよう、さらに精進していきたいと考えています。

TO MY FUTURE

Myタイムカプセル

5・10年後の私

「スーパージェネラリスト」を目指し、薬物療法専門薬剤師の資格取得も含め、薬や疾患に関する幅広い知識を養っていきたい。そして、医療従事者からの問い合わせや患者さんからの相談への対応力、後進への指導力の向上、さらには学会発表、論文作成など臨床研究についての力を高める活動などもしていきたいと考えています。

これが成功の分岐点

副作用モニタリングで 患者さんの悩みの深さを実感

抗がん剤・オピオイドの副作用モニタリングを実施する中で、患者さんが多くの不安や悩みを抱えていることを実感。なかには「診療時間は限られているし、主治医には言いにくくて…」という方もいます。患者さんが納得し、安心して薬を服用できるように導くことも薬剤師の仕事と考え、真摯に話を聞き、必要があれば医師や看護師など他職種への橋渡しも行うようにしています。そうすることで、患者さんからの信頼も高まってきたように思います。

私なりの仕事の心掛け

「仕事をためない」ために 適切な情報伝達と共有を実践

「仕事をためない」ことがモットー。最初から完璧を求めるのではなく、自分なりに計画の骨格を立てた段階で上司に相談し、アドバイスいただいたことなどを取り入れ、肉付けしていくようにしています。特にDI業務は資料作成の合間に問い合わせ対応をすることもしばしばあり、常にマルチタスクを求められるので、優先順位を考え、上司と進捗状況を確認しながら仕事をするようにしています。

学生の皆さんへメッセージ

資格を取得して何がしたいのか その先まで考えてほしい

病院や薬局での実務実習を通じて、自分がやりたいことは何なのか、その時はまだ明確ではなく、ぼんやりとでもいいので、感触を掴めるとよいと思います。資格取得を目標とする学生さんも多いのですが、資格取得はあくまでもスタートであって、ゴールではありません。資格を有する薬剤師としてどうありたいのか、その先まで考えてほしいと思います。

オフタイム

職場の仲間とマラソンを始め、チームで5時間耐久リレーマラソンに挑戦。個人でもフルマラソンに3回挑戦して完走しました。
旅行も楽しみの1つ。北海道の大自然を満喫してリフレッシュ!

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