様々なキャリア~目標とする働き方~
公益財団法人がん研究会有明病院
インデックス
部門や施設の枠を超えて多様な経験を積み 医療の質向上に広く貢献できる薬剤師へ。
臨床試験のデータマネージャーとして キャリアをスタート
学生時代に病院で研修生として勤務していた時に、自分が担当していた白血病で移植を予定していた患者さんが移植前処置の放射線と化学療法による感染症で亡くなられたのを機に、化学療法についてもっと深く学びたいと切望するようになりました。そんな私に大学院の教授が紹介してくれたのが、有明病院の化学療法を主に行う診療科でのデータマネージャーという仕事でした。医局の配属となり、薬剤師としては特殊なケースですが、きっとよい勉強になると、入職を決めました。 データマネージャーとして、臨床試験に参加する医療施設への必要書類の送付や、各施設から収集したデータの精査、症例の登録、さらには臨床試験に参加いただく患者さんへの説明など、臨床試験の品質担保に関わる様々な業務を経験。臨床試験の仕組みを学ぶとともに、医師の診療を間近に見ることで、がん診療の基礎や医師業務のフロー、さらに論文やカルテを見た時のデータの捉え方など、その後につながる貴重な知見を得ることができました。
患者さん一人ひとりに合わせた薬物療法で 治療効果を最大限に引き出したい。
副作用マネジメントなどを通して薬物療法の最適化に貢献したい
大学院修士課程の2年間を「がんプロフェッショナルコース」として、主に血液腫瘍内科の病棟で学ぶ中で、副作用マネジメントや感染症モニタリングの重要性を実感しました。ちょうどこの時期に、新しい機序の抗がん薬が相次いで認可されたこともあり、それに伴う新たな支持療法の確立も大きな課題となっていました。そうした状況下で、個々の患者さんに最適な支持療法薬を提案するなど、薬剤師としての専門性を活かし、治療を続けていくためのサポートに少しでも貢献したいと思い、がん専門機関である当院への入職を決めました。 入職後は、若手のうちから学会や外部の研修会にも参加し、抗がん薬の曝露に関する研究などにも取り組んできました。がん専門機関なだけに、同僚の薬剤師も化学療法に詳しく、がん専門薬剤師の資格を持つ先輩も多いので、資格取得は目標というよりはむしろ、〝自身の得意分野を磨く過程にあるもの〟という感じでした。 とはいえ、がん専門薬剤師の要件となる「がん患者への薬学的介入実績50症例の提出」にはかなり苦労しました。初めての試験では、この症例がネックとなり不合格という結果に。先輩薬剤師にアドバイスをいただいて症例内容をよりわかりやすくまとめ直し、翌年に再チャレンジし、ようやく合格することができました。