公益財団法人がん研究会有明病院

業種 病院

資格取得

日本医療薬学会 がん専門薬剤師
2023年取材記事
患者さん一人ひとりに合わせた薬物療法で
治療効果を最大限に引き出したい。
薬剤部
博士(薬学)課程 2021年修了

副作用マネジメントなどを通して
薬物療法の最適化に貢献したい

 大学院修士課程の2年間を「がんプロフェッショナルコース」として、主に血液腫瘍内科の病棟で学ぶ中で、副作用マネジメントや感染症モニタリングの重要性を実感しました。ちょうどこの時期に、新しい機序の抗がん薬が相次いで認可されたこともあり、それに伴う新たな支持療法の確立も大きな課題となっていました。そうした状況下で、個々の患者さんに最適な支持療法薬を提案するなど、薬剤師としての専門性を活かし、治療を続けていくためのサポートに少しでも貢献したいと思い、がん専門機関である当院への入職を決めました。
 入職後は、若手のうちから学会や外部の研修会にも参加し、抗がん薬の曝露に関する研究などにも取り組んできました。がん専門機関なだけに、同僚の薬剤師も化学療法に詳しく、がん専門薬剤師の資格を持つ先輩も多いので、資格取得は目標というよりはむしろ、〝自身の得意分野を磨く過程にあるもの〟という感じでした。
 とはいえ、がん専門薬剤師の要件となる「がん患者への薬学的介入実績50症例の提出」にはかなり苦労しました。初めての試験では、この症例がネックとなり不合格という結果に。先輩薬剤師にアドバイスをいただいて症例内容をよりわかりやすくまとめ直し、翌年に再チャレンジし、ようやく合格することができました。

積極的に研究に取り組むとともに情報発信にも注力

 現在は主に薬剤師外来や病棟を担当しています。副作用が強くて抗がん薬が飲めないなどの問題があった場合に、薬剤師の視点から対応策を医師に提案し、治療が円滑に進めることができた時にはやりがいを感じます。また「がん専門薬剤師としての知識やスキルを活かして、治療に貢献できた」と感じられる瞬間でもあります。今後も個々の患者さんの体質や病状に合わせた薬物療法を行い、治療効果を最大限に引き出すことに力を入れていきたいと考えています。
 また、がん治療は常に進化しており、最新の研究結果や新薬の情報を迅速に取得し、日々の診療に反映すること、また自身も積極的に研究に取り組んでいくことが大切だと考え、社会人大学院で博士号も取得。同時にそうした新しい情報の発信と啓発活動も、がん専門薬剤師としての役割だと考え、当院主催のがんに関する研修会「ABCセミナー」の講師役のほか、薬局薬剤師を対象とした研修、大学でのファシリテーターなど、様々な活動を行っています。積極的に情報発信をすることで仲間が増え、研究が進展し、がん薬物治療の進化へとつなげていきたいと思っています。

ADVICE

後輩の皆さんへアドバイス

がん治療に関わり 経験値を上げて

がん専門薬剤師は、がん患者とその家族のQOL向上に、大きな貢献を果たすことができます。がん治療に関われる施設で臨床経験を積み重ね、専門知識の深化に励んでほしいと思います。

がん薬物療法に5年以上の研修歴があることなどが必要
  • 学会入会

    日本医療薬学会の会員になる
  • 実務経験

    薬剤師実務経験5年以上
  • 研修

    がん専門薬剤師研修施設で
    がん薬物療法5年以上
  • 講習会

    クレジット5年50単位
    がん専門薬剤師集中教育講座
    1回以上参加
  • 申請・試験

    がん患者への
    薬学的介入症例報告50症例提出
    認定試験受験
取得方法

がん専門薬剤師の認定を申請する者は、以下の資格を満たす必要があります。
(1)薬剤師としての実務経験を5年以上有すること。(2)日本医療薬学会の会員であること。(3)「日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師」「日本病院薬剤師会日病薬病院薬学認定薬剤師」「日本薬剤師会生涯学習支援システム(JPALS)クリニカルラダー5以上」、いずれかの認定を受けていること。(4)日本医療薬学会が認定する「がん専門薬剤師研修施設」において、同学会の定めた研修ガイドラインに従って、がん薬物療法に関する5年以上の研修歴を有すること。(5)別に定めるクレジットを5年で50単位以上取得していること。(6)がん患者への薬学的介入を伴った症例報告50症例を提出すること、などの条件があります。

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