独立行政法人国立病院機構 近畿グループ

業種 病院

資格取得

日本病院薬剤師会 感染制御専門薬剤師
2015年取材記事
後進の育成や情報発信を通じて
感染症治療の進歩に貢献していきたい。
薬剤部 主任薬剤師感染制御部 専任薬剤師
薬学部卒業 2005年入社

抗菌薬の適正使用に向けて
積極的に情報を発信

 感染制御に関わったきっかけは、2005年当時に勤務していた福井県のあわら病院に感染対策チームが設立され、その担当となったことでした。独学で学びつつ、内科医と密に接し、また病院長の指導も仰ぎながら、試行錯誤を重ねていきました。その中で気付いたのは、抗菌薬が以前からの慣習で漫然と使用されているケースが多く、適正使用に向けた啓発が急務であるということ、さらには医薬品の適正使用の指針となるべき添付文書の内容自体が国際標準とされている用法・用量と隔たりがあるということです。感染症は適切に対処しないと、生命を脅かす可能性のある重要な領域です。「この現状を何としてでも変えなければ」という思いに駆られ、情報発信には特に力を入れました。
 また、感染症は様々な疾患がベースにあるため、最良と言える治療方法を提案するには、疾患や他の薬剤との相互作用など、幅広い知識が求められます。よくジェネラリストとスペシャリストのどちらを目指すかという議論がありますが、私自身はまずジェネラリストのベースがあって、その後、専門分野の知識を深める必要があると考えています。特に感染制御を追求するのであれば、領域を超えた知識の習得は必須と言えます。

感染症に関わる薬剤師を
一人でも多く増やすために

 その後、国立循環器病研究センター、現在の大阪医療センターと異動する中でも感染制御に関わり、業務や学術発表の成果を通じて得られた知識を〝カタチ〟にして残したいと、2010年に感染制御認定薬剤師、翌年に感染制御専門薬剤師の資格を取得しました。資格があるからといってやる事が変わるわけではありません。しかし、取得の過程で症例報告のために改めてデータを整理したり、論文を書くために多くの学術論文を読んだりと、自己研鑽を積むきっかけとなり、また専門資格を持つ者として、感染症に関わる薬剤師を一人でも多く増やしていくという〝使命感〟を得たという意味で、〝自身の中の変化、成長〟にはつながったと思います。
 現在は、国立病院機構で初めて設置された感染制御部の専任薬剤師として、また抗菌薬適正使用チームの一員として活動するとともに、院内における勉強会の講師なども務めています。今後も多くのエビデンスを発信し、患者さんの治療につなげるとともに、感染症治療の進歩に貢献していきたいと考えています。

ADVICE

後輩の皆さんへアドバイス

「資格の取得ありき」
ではなく、
まずは幅広い知識を

資格はあくまでも自分の行ってきた活動の証です。「資格の取得ありき」で考えるのではなく、まずは幅広い知識を身に付けることが大切だと思います。特に国立病院機構の施設は規模も専門分野も様々で、先進的な取り組みにも従事できるのが魅力です。広い視野で、まずは経験を積むことを第一に考えて取り組んでみてください。

学会発表3回以上、学術論文2編以上などが必要
  • 学会入会

    日本病院薬剤師会または日本薬剤師会、
    日本女性薬剤師会の会員になる
  • 実務経験

    薬剤師歴5年以上、
    感染制御活動に3年以上関与する
  • 認定薬剤師取得

    感染防止対策に関与した業務報告書を
    提出し、講習で所定の単位以上を
    履修した後、認定薬剤師試験を受験する
  • 申請・試験

    認定薬剤師として学会発表3回以上、
    学術論文2編以上が必要
  • 更新

    5年ごとに更新が必要
取得方法

日本病院薬剤師会専門薬剤師の認定試験を受けるには、(1)感染制御認定薬剤師あるいはICD制度協議会が認定するインフェクションコントロールドクター(以下、ICD)の資格を有している者であり、かつICD制度協議会に加盟している学会・研究会のいずれかの会員であること。(2)日本医療薬学会、日本薬学会、日本臨床薬理学会、日本TDM学会、ICD制度協議会に加盟している学会・研究会などで、感染制御領域に関する学会発表が3回以上(うち1回は発表者)、学術論文が2編以上(うち1編は筆頭著者)あること。(3)病院長あるいは施設長などの推薦があること。などの条件があります。合格後は5年ごとの更新が必要です。

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