常盤薬品工業株式会社

業種 メーカー
2025年取材記事
好奇心と探求心を原動力に 安全を守る「最後の砦」としての使命を追求。
三重工場
薬学部 2022 年卒業
私のCAREER
医薬品製造管理者

医薬品の原料試験や製品試験を担いながら、卸売販売業の管理薬剤師も兼務し、トラブル対応なども経験。現在は医薬品製造管理者として製造部門と品質管理部門を統括し、「最後の砦」としての自覚と誇りを胸に、安全で高品質な製品をお客さまへ届ける使命を追求しています。

4年のCAREER

  • 1年目

    入社
    医薬品原料の理化学試験を担当

    品質管理業務や他部署の研修を受けた後、入荷した医薬品原料の品質確認を目的とした理化学試験を主に担当。分析機器のセミナーにも参加し、日本薬局方に基づく試験法や、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)をはじめとする各種分析機器の操作を習得

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    ここがPOINT1

    未知の機器があれば積極的に先輩に学び、自ら好奇心を持って取り組む姿勢を大切にしました。その結果、短期間で各種分析機器の操作法や試験法を習得でき、さらにセミナーへの参加を通じて新しい手法を自社業務に取り入れることができました。

  • 2~3年目

    出荷する製品の品質試験を担当
    卸売販売業の管理薬剤師を兼任

    工場で生産された製品の品質をチェックする試験を主に担当し、高速液体クロマトグラフ(HPLC)をはじめとする分析機器の取り扱い方を習得。また、卸売販売業の管理薬剤師として出納管理、温度環境の確認、定期点検、教育訓練、トラブル対応など幅広い業務を担当

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    ここがPOINT2

    入社2年目にして卸売販売業の管理薬剤師を任され、委託先へ指示を出す立場に。最初は戸惑いもありましたが、依頼時だけでなく日常から人と人との信頼関係を築く努力を重ねた結果、相手からの信頼を得ることができました。責任ある立場を経験したことは、大きな人間的成長につながったと感じています。

  • 4年目

    三重工場
    医薬品製造管理者に就任

    三重工場の医薬品製造管理者に就任し、製造部門と品質管理部門の双方を統括。工場全体の品質目標を策定し、その進捗を管理するとともに、行政対応や製造受託(OEM)の窓口業務も担当

日常生活に溶け込んだ製品群
その安全を守る重要な責務

 卒業後の進路を考える際、幅広い分野に関心がありましたが、まずは医薬品メーカーで経験を積むことで将来の選択肢が広がると考えました。友人との会話をきっかけに当社を知り、「眠眠打破」や「NOV」「エクセル」「サナ」「なめらか本舗」など、日常生活に身近な製品を多数展開している点に魅力を感じ、入社を決意しました。
 入社後の研修では、品質管理業務がチェック項目の試験だけでなく、工場全体の文書管理や教育訓練など、想像以上に広範囲に及ぶことに驚きました。他部署の業務についても厳格な管理体制が整えられており、その仕組みの上に日々の品質管理が成り立っていることを実感し、責任の重さを改めて認識しました。

分析機器を駆使した品質試験
店頭で感じる仕事への誇り

 研修後は、入荷した医薬品原料の品質を、医薬品の規格基準書である日本薬局方や医薬品添加物規格などに則ってチェックする理化学試験業務を主に担当。目視では判別できない原料を分析機器で試験し、純度の測定、重金属やヒ素の有無の確認などを行いました。定量電位差滴定装置を用いた試験で規格外の数値が出た際には、手技の問題が疑われました。原因特定は困難を極めましたが、検証を繰り返す中で、手順書どおりの操作だけでなく、その背景にある化学的原理を理解することの重要性を痛感しました。
 2年目には、高速液体クロマトグラフ(HPLC)の操作法に関する社内資格を取得。HPLCは液体試料に溶解している成分を分離・検出し、どのような成分がどれくらい含まれているかを分析できる手法で、三重工場で生産された製品の有効成分の含有量や不純物の有無などを確認しています。
 そうした厳格な試験を経て、自信を持って出荷許可を出した製品たちが店頭に並んでいるのを見かけると大きな喜びを感じ、ついロット番号を確認してしまいます。

関係構築の鍵はあいさつにあり
背中を押された工場長の言葉

 2年目から卸売販売業の管理薬剤師を兼任。委託先物流倉庫の業務を管理し、必要に応じて指示を出す役割を担いました。入社2年目で知識も乏しく、どう振る舞えばよいのか戸惑いましたが、私が選んだのは「あいさつ」の徹底でした。倉庫は工場敷地内にあり、巡視や商品確認で訪れるたびに大きな声で明るくあいさつすると、相手も笑顔で返してくれました。雑談ができない場面でも、笑顔のやり取りを重ねるうちに信頼が芽生えていくのを実感しました。
 そんな折、倉庫責任者に業務改善を求める必要が生じました。大ベテランに指示することに気後れしましたが、工場長の「正しいことなら必ず理解される。お客さまの安全や製品の安定供給のために必要なことなのだから」との言葉に勇気を得て、改善の理由を丁寧に説明。責任者は真剣に耳を傾け、速やかに対応してくださいました。この経験を通じ、管理薬剤師としての責務を果たせました。

全体を俯瞰し、現場を丹念に
見つめる管理者として

 4年目の現在は医薬品製造管理者として、製造部門と品質管理部門の双方を統括。GMPやPMDAの各種ガイドラインに基づき、工場全体を俯瞰しながら広い視野で判断を下すことが求められます。
製造記録を確認し、最終確認印を押すことも重要な業務です。しかし、書面だけでは現場の実態を把握できないため、製造ラインへ足を運び、記録書の各項目と実際の作業を一つひとつ照らし合わせながら学んでいる最中です。
 トラブルが発生すれば、現場の担当者が考案した是正措置や予防措置に実効性があるかを判断しなければなりません。その判断は容易ではなく、実務担当者から詳細にヒアリングを行い、一人の意見に偏ることなく、その分野の製造や品質管理に精通した方々の知見も取り入れています。また、現場の正確な把握に加えて、外部の情報にも常にアンテナを張っています。行政や業界団体から発信される通知や改正情報には敏感に反応し、外部の勉強会や他社の工場見学にも積極的に参加。外の世界から新しい知見を吸収し、自らの判断基準を更新し続けるよう努めています。
 現在、医薬品制度や品質管理に対する社会的要求は年々高まりを見せています。当社の製造管理システムは十分に確立されており、原料試験や製品試験で不適合が出ることはほとんどありません。しかし万一、不適格なものを見逃せば、取り返しのつかない事態につながります。そのため私は「最後の砦」としての自覚とプライドを強く持ち、一つひとつの業務に全力で向き合っています。
 会社にはお客さまから「長年愛用している」「これがないと元気が出ない」といった声が寄せられます。こうした声は食堂のモニターや社内メールを通じて社員全体に共有されますが、目にするたびに「私たちの製品を心待ちにしてくださっている方がいる」「この仕事はお客さまの健やかな毎日を支えている」という実感が湧き、大きなモチベーションとなります。製造管理者としての責務は重いものですが、その分やりがいも大きく、今は本当に天職だと感じています。

TO MY FUTURE

Myタイムカプセル

5・10年後の私

知識と経験を積み重ね、的確な判断が下せる頼られる医薬品製造管理者になることが目標です。そのためにも現場に足を運び、小さな問題にも目を向け、担当者の声に真摯に耳を傾けて、お客さまに安心してお使いいただける製品を安定的に供給できる体制を築いていきます。

これが成功の分岐点

年齢も組織も関係ない
みんな同じ目標に向かう仲間

委託先への指示に尻込みしていた私の背中を押してくれた工場長の言葉は、責任ある立場に立つ者としての自覚を芽生えさせました。若さや立場に臆することなく、全員が「よりよい製品を届けたい」という共通の目標に向かう仲間であると学びました。

私なりの仕事の心掛け

「なぜ?」と問い続け、
業務の本質を理解する

仕事を行う際には「なぜこの業務が必要なのか」「このルールの根拠は何か」と常に疑問を持つようにしています。本質を理解すれば、改善すべき点やよりよい方法も見えてくるほか、後輩に指示・指導をする際にも理由を含めて説明できます。探求心が自身の知識を深め、仕事の質も高めると信じています。

学生の皆さんへメッセージ

適職を見極めるには
自己分析と職種理解が大切

私は就職活動の初期、今とは全く違う職種を考えていました。自分の適性をしっかり把握していれば、その職種を目指すことはなかったと思います。適職を見極めるためにも、自己分析や業界・職種への理解は大切です。その職種の先に、将来のどんなキャリアの可能性が広がっているのかも想像してみてください。

オフタイム

平日の帰宅後は映画鑑賞や読書、ギター演奏などの
趣味に没頭しています。
休日は友人や家族と食事やライブに行くほか、
長期休暇を利用し国内外へ旅行に出かけて
リフレッシュしています。
最近は、亡き祖父を偲んで始めたゴルフも楽しんでいます。

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