社会福祉法人 恩賜財団 済生会横浜市東部病院

業種 病院
2024年取材記事
臨床ニーズを反映し より安全で効果を上げられる がん薬物療法の確立を目指したい。
薬剤部
大学院薬学研究科博士課程 2024 年修了
私のCAREER
主任・がん専門薬剤師

がん患者さんの副作用を抑えきれなかったという悔しさから、がん領域への知識を深め、学術的な研究を行うことを決意。抗がん剤のTDMの測定法の確立やPBPMの実践などを通じて、患者さんにとってより安全で質の高い薬物療法の実践に努めています。

14年のCAREER

  • 1年目

    入職
    セントラル業務を主に担当

    新人教育プログラムに沿って調剤を徹底して学ぶ。高カロリー輸液や抗がん剤の調製などのほか、手術室や当直などの業務も一通り経験し、薬剤師としての基礎を築く

  • 2年目

    泌尿器・婦人科の病棟業務
    ICTにも従事

    泌尿器科・婦人科病棟に配属され、病棟業務を主に担当。がん患者が多くいる病棟で、がん領域への関心が高まる。3年目からはICTにも参加し、病棟ラウンドやカンファレンスを通じて、抗菌薬の知識を深める

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    ここがPOINT1

    病棟に行き、薬が実際にどう使われているのかを見ることで理解が深まるとともに、患者さんによってベストな薬や投与量、さらに響く言葉もそれぞれ違うということを痛感し、より患者さん一人ひとりに向き合い、薬はもちろん心のフォローも心掛けるようになりました。

  • 10年目

    がん専門薬剤師の資格取得

    がん薬物療法認定薬剤師、感染制御認定薬剤師に続き、がん専門薬剤師の資格を取得。がん領域における研究活動の推進のため、勤務する傍ら博士課程に進み、学会発表や論文発表にも積極的に取り組む

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    ここがPOINT2

    若手の時に経口チロシンキナーゼ阻害薬の副作用を抑えきれなかったという悔しさを胸に、必死で研究し、ようやく同薬剤の血中濃度測定法を確立することができました。博士課程に進むという決断をしたのも、あの時の悔しさがあったからこそだと思います。

  • 14年目

    主任
    博士課程を修了

    主任として調剤室、病棟、化学療法室に加え、がんセンターの薬剤師外来を担当。安全で質の高い薬物療法の実行を目指し大学と連携した研究にも精力的に取り組み、多くのPBPM確立に尽力し、後進の指導にも力を注ぐ

病棟へ早い段階で配属されることや
専門認定薬剤師の多さがポイントに

 父が済生会で薬剤師として勤務していたため、子どもの頃に職場によく行く中で、多職種が壁なく協力する姿を見てきたので、自然と「自分もここで働きたい」と思うようになりました。就職活動として見学に訪れた際も当時と変わらず雰囲気がよく、また高度急性期医療を担う横浜市東部病院であれば最新の知識を吸収できること、早期から病棟に配属され、専門認定薬剤師も多く在籍していることなどがポイントになり、入職を決めました。
 入職1年目はまず調剤業務をはじめ、高カロリー輸液や抗がん剤の調製などのセントラル業務に加え、手術室での薬剤管理や夜勤業務まで一通り経験した後、先輩について病棟にも上がり、薬剤師としての基盤をつくることができました。
 2年目からは泌尿器・婦人科病棟での業務が中心となり、多くのがん患者さんとも接するようになりました。指導いただいた先輩の患者さんの話に真摯に耳を傾け、小さなことでも何か手助けできることはないかと常に考え、行動する姿に感銘を受け、薬に加えて心のフォローもしたいと思うようになりました。またICT(感染対策チーム)の一員となり、広域抗菌薬使用者の抽出やカンファレンスでの症例プレゼン、ICTラウンドなどの活動をする中で、抗菌薬への知識を深めることができました。

悔しさから生まれた
「がん領域を究めたい」という思い

 私ががん領域に興味を持ち、「薬剤師としてがん領域を究めたい」と思うようになったきっかけが、経口チロシンキナーゼ阻害薬という抗がん剤との出会いでした。下痢や嘔吐、手足症候群などの副作用が強く出る患者さんも多く、なかには治療を継続できないケースもあり、悔しい思いをしました。副作用を早期に発見、対応できる方法はないかと考え、自己研鑽にも力が入るようになりました。8年目にはがん薬物療法認定薬剤師、感染制御認定薬剤師の資格を取得し、さらにステップアップを目指したいと、10年目にはがん専門薬剤師の資格も取得しました。
 また、がん領域の研究活動をすることで、患者さんのがん治療に貢献したいとの思いから、勤務しながら博士課程へと進むことを決意。若手の頃に味わった悔しさを晴らしたいと、経口チロシンキナーゼ阻害薬の研究に着手しました。関連する論文をかき集めて読み込み、様々な観点から検証を進めた結果、血中濃度から副作用や治療効果を予測できる可能性に行きつきました。大学の先生方に助言をいただきつつ、約2年の歳月をかけて院内で簡便に血中濃度を測定する方法を確立することができました。
 抗がん剤のTDM(血中濃度モニタリング)が可能なことを他病院の薬剤師にも伝え、現場に還元したいとの思いから、学会発表や論文発表にも積極的に取り組むようになりました。

医療安全と治療効果の向上を目指し
PBPMの構築、運用へ

 現在は、がん患者さんのサポートをするため、がんセンターの医師や看護師と協力し、PBPM(プロトコルに基づいた薬物治療管理)の実践に努めています。化学療法室では、検査項目や支持療法など約30項目のPBPMが運用されています。PBPMを医師の負担軽減につながるタスクシフトと捉えられがちですが、それはあくまでも副次的効果で、何より患者さんの医療安全の確保と治療効果の向上を目的として実施しているものです。

若手の育成や
臨床ニーズに即した研究にも注力

 もう一つ、今力を入れているのが若手の育成です。今年から主任となり、薬剤部でも指導的な立場となったことに加え、自身の知識や経験を若手に伝えていくことは、認定専門資格取得者として当然のことだと考えています。毎月、抗がん剤のレジメンや、臨床試験に関する論文など、様々な題材を取り上げ、がん患者さんにより深く介入するための知識習得や、学術調査や学会発表をする人のサポートもしています。
 また、抗がん剤のTDMに関する研究に興味を持ってくれた後輩と一緒に、患者さんのがん治療に今まで以上に貢献すべく、大学とも連携しながら研究も続けています。学術的な基礎薬学と実践的な臨床薬学とを融合させることで、臨床ニーズに即した研究を遂行し、その成果を広く社会に還元することを目標に、これからも様々な研究に取り組んでいきたいと考えています。
 さらに今後は国内にとどまらず、ヨーロッパなど海外の学会でも発表し、最先端のグローバルな研究者とも交流できればとの思いもあり、語学力も磨いていきたいと考えています。

TO MY FUTURE

Myタイムカプセル

5・10年後の私

私自身が研究活動を続けていくことはもちろんですが、それに加えてこれからは後進育成が私の使命だと考えています。若手の成長は組織の発展に直結し、医療の未来をも拓くものです。どこでも通用する薬剤師に成長できるよう、サポートしていきたいと思っています。

これが成功の分岐点

何事も経験しないと始まらない
一歩を踏み出す勇気が大切

2年目に初めて配属された病棟での経験が、私の薬剤師人生でかけがえのない時間だったと今でも思っています。自分で務まるのかという不安も感じながら臨床現場に飛び込んだのですが、そこで医師や看護師と協力しながら臨床経験を積み、患者さんのインフォームドコンセントの取得にも関わるなど、様々な人と関わる中で成長することができました。その時に味わった患者さんに十分なサポートができなかったという苦い思いが、今の臨床研究にもつながっています。

私なりの仕事の心掛け

5年後の自分が
どうありたいかを
常に考えて計画、実行する

目標を達成するには、計画的な行動が必須です。まずは5年後に自分がどうなっていたいかと考えて目標を決め、その目標を達成するにはどう行動するかと計画を立て、実行するようにしています。漫然と過ごす5年後と、意志を持って迎える5年後とでは大きな違いがあると思っています。

学生の皆さんへメッセージ

部活などでコミュニケーション能力と
実行力に磨きをかけて

私は大学時代、アメリカンフットボール部に所属していました。薬学に加え、医学・歯学・看護・保健医療など多学部の学生が一つのチームとして活動しており、このころからすでにチーム医療の土台づくりができていたのではないかと思います。知識は社会人になって現場に出れば自然と身に付くので、学生のうちにコミュニケーション能力と実行力を磨いておくとよいと思います。

オフタイム

休日は子ども3人と過ごす時間を大切にしています。
最近、自然の多い地域に引っ越したので、
家庭菜園できゅうりやゴーヤを育てたり、虫取りをしたり…。
まとまった休暇が取れた時は、家族旅行を楽しんでいます。
今年の夏は、白浜(和歌山)に行ってきました!

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