医師や患者さんと会話
病棟業務にやりがい
現在、病棟業務をしながら院内の感染対策委員を務めています。
看護師をしている母の影響もあり、もともと病院は就職先の選択肢の一つでした。ただ、もう少し研究を続けたくて大学院に進み、そこで学んだ細菌学の知識が、結果的に今の感染対策の仕事に活きています。
最初に勤務したのは名古屋にある大きな病院でした。充実した教育システムがあり、専門の資格を持った薬剤師も多く在籍していました。家庭の事情で1年で退職することになりましたが、調剤業務の基礎をしっかり身に付け、多くの志の高い薬剤師と出会えたことで、薬剤師としての土台を築くことができたと感じています。
その後、縁あって鈴鹿回生病院に入職しました。仕事を始めてまず驚いたのが、医師が薬剤師と談笑する姿。前の病院では見たことがありません。チーム医療が一気に身近に感じられました。私も1年目の終わりから病棟に出るようになり、持参薬の確認と、その評価に基づく処方設計などの提案、処方支援など幅広い業務を行っています。実際に自分の提案を治療に活かせることにとてもやりがいを感じています。
抗感染症薬ラウンドを
病院に取り入れた
翌年からは、病棟業務をしながら感染対策委員に所属。元々感染症に興味がありましたし、大学院時代に培った微生物や抗菌薬に関する知識も活かせると思ったからです。三重県内の病院薬剤師会には、感染対策や感染症治療に精通した薬剤師が多く、勉強会や研修で親交を深めるうちに「自分もこの領域で頑張っていきたい」とさらにモチベーションが上がりました。
感染に関する学会にも積極的に参加し、他病院の取り組みを参考に、当院でも活用できることはないかと考えています。その中で、実際に私が取り入れたのが抗感染症薬ラウンドでした。医師や看護師、検査技師などが週1回集まり、特定の抗菌薬が処方されている患者さんの一週間の治療状況を見ながらカンファレンスを行っています。薬の効果が出ていない患者さんがいれば主治医にフィードバックすることで、より迅速な対応を可能にします。特に薬の選択は医師とよくディッスカッションする必要があり、その際こちらの提案が受け入れられ、患者さんの状態が良くなっていく過程が見て取れた時、最もやりがいを感じます。
薬剤師の主体性が生かされ
資格取得もバックアップ
鈴鹿回生病院に来て強く感じるのは、職種の垣根を超えたコミュニケーションの良さです。特に感染症はすべての診療科で起きうるため、その対策には多職種との連携が必要不可欠です。専門知識があれば頼りにしてもらえる喜びもあります。昨年、感染制御認定薬剤師を取得し、医師からの信頼も高まったように思います。
私が感染症に深く関わることができているのは、多職種が一体となって取り組む当院の姿勢とともに、3年前に着任した薬剤管理課のトップである木村課長の存在が大きくあります。薬剤師の自主性を尊重し、認定や専門資格も取りやすい環境を作ってバックアップしてくれているためです。課長自身が感染制御専門薬剤師の資格も持っているので、貴重なアドバイスをもらうこともできます。
今後は、自分の専門性をさらに高めて、感染症の知識を広く伝える立場になっていきたいと考えています。