2018年取材記事
院内外での様々な啓発活動を通じて 奈良県のがん化学療法の発展に貢献したい。
薬剤部 化学療法係 主査
薬学研究科修了 2015 年度入社
私のCAREER
主査(化学療法係)

組織や職種の壁を越えて多様な人と交流する中で、多くの刺激を受け、自己研鑽に励んできました。 また自身の成長に伴い、より広く活躍できる場も拓け、現在では奈良県内で唯一のがん専門薬剤師として、 県内のがん化学療法の発展に寄与すべく、幅広い活動を展開しています。

18年のCAREER

  • 1年目

    病院薬剤師として
    調剤・病棟業務に携わる

    厚生連関連の病院で、1年目は調剤業務を徹底して学び、3年目からは調剤業務を行う傍ら、循環器科・泌尿器科病棟にて、薬剤管理指導の基礎について学ぶ

  • 4年目

    民間の総合病院に転職
    化学療法係を担当

    呼吸器科病棟・緩和ケアチームを担当する中で、がん医療について興味を持つようになり、7年目には関西有数の病院で3カ月間にわたるがん薬物療法の研修に参加

  • 9年目

    がん専門薬剤師の資格を取得

    がん専門薬剤師の資格を取得し、院内のがん化学療法レジメン管理や緩和ケアチームの一員としての活動も深化。がん化学療法のB型肝炎再活性化対策におけるPBPMに関する発表が、日本臨床腫瘍薬学会の優秀演題賞に輝く

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    緩和ケアチームの一員として多くのがん患者さんの症状緩和に携わり、また院内のがん化学療法レジメン管理やPBPMを通じて、医療の質的向上に貢献することができ、大きなやりがいを感じるとともに、より広く情報を発信していくことの重要性についても考えるようになりました。

  • 15年目

    奈良県立医科大学附属病院に入職
    様々な活動に参加

    がんと診断された人のその後の生活における課題を社会全体が協力してサポートする「がんサバイバーシップ」の活動を通じて、現病院の人たちとの交流が生まれ、転職を決意。院内における化学療法レジメン管理のほか、奈良県内唯一のがん専門薬剤師としてがん医療に関する様々な活動を展開

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    ここがPOINT2

    「がんサバイバーシップ」を通じて、様々な人との交流が生まれ、患者さんの治療後の生活についても知るきっかけとなり、薬剤師としてどんなサポートができるのかと考えるようになりました。奈良県のがん診療連携拠点病院なら、より広い活動が可能になると考え入職を決意しました。

知識豊富な先輩に触発され
意欲的に取り組む

 薬学部を卒業後、実践力や応用力をさらに高めたいと大学院の臨床薬学コースに進学するとともに、薬剤師免許を取得。大学院としては珍しく半年間にわたって病院で臨床業務に携わるなど、〝現場力〟の向上に努めました。その後、地元である北海道内の総合病院に就職し、2年目までは調剤の基本を徹底して学び、3年目からは調剤の傍ら、循環器科・泌尿器科の病棟業務も開始し、薬剤管理指導の基本についても学びました。
 「もっと病棟で活動し、患者さんと接する時間を増やしたい」という思いが募り、また結婚したことも契機となって関西での転職を決意。500床規模の民間総合病院で新たな一歩を踏み出しました。そこで呼吸器科病棟・緩和ケアチームの担当となり、がん医療に興味を持つようになったのが、大きな転機となりました。がん専門薬剤師という資格ができると聞き、「ぜひチャレンジしたい」と志願して、関西有数の病院での3カ月間のがん薬物療法に関わる研修にも参加。先輩薬剤師の指導のもと、臨床はもちろん、手術なども見学させていただきました。先輩の豊富な知識量に圧倒され、少しでも追いつきたいと必死に論文を読んだり、組織や職種の壁を越えて様々な人と交流したり、勉強にも一層熱が入るようになりました。

資格取得で自信も付き
活動も一層深化

 研修施設から自らの病院に戻ってからは様々な改革に着手。データベースソフトを一から勉強して、持参薬の鑑別や、化学療法レジメンの管理に関わるシステムの作成、支持療法の標準化などに取り組みました。
 また資格取得を目指し、担当病棟である呼吸器系以外の分野のがん腫の知識も意識して学び、知識の幅を広げるように努めました。その甲斐あって、9年目にはがん専門薬剤師の資格を取得することができました。これまで頑張ってきたことをカタチにできたことで自信も付き、化学療法レジメン管理や緩和ケアチームのメンバーとしての活動に加えて、外来がん患者さんへの薬剤師の介入など、がん領域に関わる活動も深化しました。
 さらに、医師からの信頼を得て、薬剤師による処方提案・変更に関してプロトコールに基づく薬物治療管理(PBPM)も開始。なかでもがん化学療法のB型肝炎再活性化対策におけるPBPMでは、抗がん剤による治療を始める前に血液検査によってB型肝炎ウイルスのキャリアを洗い出し、定期的にモニタリングを行うことで、再活性化の抑制に大きく貢献することができました。本事例は、日本臨床腫瘍薬学会の学術大会で優秀演題賞を受賞し、論文としても発表しました。

人とのつながりから
道が拓け、交流の輪が広がる

 学会や研修会などに積極的に参加し、交流の輪を広げる中で、「がんサバイバーシップ」という活動を知り、興味を持つようになりました。これは、がんと診断された人のその後の生活の課題に社会全体が協力しサポートしていくという理念の実現を目指すものです。その世界的な推進団体である「LIVESTRONG」の活動にも携わり、これまであまり知ることのなかった患者さんの治療後の生活についての見識も高まり、患者会とのつながりも生まれるなど、交流の輪もより一層広がりました。
 また、この活動で現職場である奈良県立医科大学附属病院の人とも知り合い、「県のがん診療連携拠点病院に指定されているここなら、より広い活躍ができるのではないか」と考え、入職を決意しました。

研修会や講演など
院内外で幅広い活動を展開

 現在は、日々の抗がん剤調製業務を行う傍ら、化学療法レジメン管理の標準化に向けたマニュアルづくりや、支持療法の推進、さらに一部の疾患に関しては、医師と同伴して診察室にも入り、副作用の確認を行うなど、より積極的に薬剤師が処方介入できる仕組みづくりに注力しています。
 また院内にとどまらず、奈良県のがん診療連携拠点病院である立場を活かし、県内の薬剤師向けにがん化学療法の研修会を自ら主催して毎年実施しています。研修会では他府県からもがん医薬に携わる著明な先生を招くなど、病院や自治体の枠を超えた情報交流の促進にも寄与しています。
 そのほか、がん患者支援団体への講演などを通じて、患者さんへのがん化学療法に対する啓発活動にも取り組むなど、幅広くがん治療に関わる活動を展開しています。
 現時点においては、奈良県にはがん専門薬剤師は私一人しかいないのが現状です。県内の多くの薬剤師にまずはがん医療に興味を持ってもらいたい。そして、専門・認定資格を取得し、患者さんによりよい医療を提供していきたいという仲間を増やせるよう、これからも力を尽くしていきす。また、他職種との連携を強化し、患者さんやそのご家族に適切ながん医療を提供できる職場や地域づくりにも貢献していきたいと思います。

TO MY FUTURE

Myタイムカプセル

5・10年後の私

●奈良県内のがん化学療法の発展のために、がんに関する専門・認定資格を持つ薬剤師を増やしていきたいと思います。
●他職種との連携をより強化し、チーム医療を通じて患者さんやそのご家族に適切ながん医療を提供できる職場や地域づくりに貢献したいと思います。

これが成功の分岐点

学術論文などの一次資料の 重要性を改めて認識

がん専門薬剤師の資格取得のために3カ月間にわたって関西有数の病院で研修を受けた時、知識豊富な先輩薬剤師に圧倒され、勉強への意欲が増しました。添付文書や参考書だけでなく、学術論文を読み込むなど、より深い知識を身につけるきっかけになりました。

私のモットー

常に「本当に必要か」と自問し 効率的な業務運用を目指す

業務を行う上で「なぜそれが必要なのか」を常に意識し、説明できるようにしています。説明できないものは「果たして本当に必要なのか」を再度検討し、業務の効率化につなげています。また数値化できる業務については、データを解析し、より効率的な業務運用に向けた検討を重ねるようにしています。

学生の皆さんへメッセージ

医療以外の経験や 国外への視線も大切に

薬剤師という枠にとらわれず、アルバイトやボランティア活動を通じて、幅広い人脈を築き、医療以外のこともたくさん経験すること、国外にも目を向け研鑽を積むことが大切です。私は働いてからその重要性を痛感しましたが、学生の皆さんには今のうちから多くの経験を積んでいただきたいと思います。

オフタイム

走ることが好きで、前の職場の同僚と大阪マラソンに参加して、2回完走することができました。今は子どもが好きな電車に一緒に乗ったり、京都の鉄道博物館を訪れたり、またまとまった休みが取れた時は北海道に帰省したり…。もう少し子どもが大きくなったら、一緒にスキーを楽しみたいですね。

現在の活躍のステージ

現在は、がん化学療法の調製、レジメンマネジメント、外来化学療法患者指導、または実習生の指導を行っております。また、学会発表や論文投稿といった学術活動も積極的に行っております。時折、講演の依頼もいただき、薬剤師のみならず医師や一般の方々へもがん化学療法に関するお話をさせていただくことがあります。そして奈良県の病院薬剤師を対象としたワークショップや、多職種チーム医療研究会の開催にも尽力しております。

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