資格取得

日本医療薬学会がん専門薬剤師
2017年取材記事
未来と目の前の患者さんを救うために
資格取得の努力や、臨床研究を続けていきたい。
京都鞍馬口医療センター 主任薬剤師
薬学研究科修了 1995年度入社

資格取得で院内外に 広がる活躍ステージ

 私ががん領域に大きな関心を抱くようになったのは、30歳を過ぎた頃に、ある患者さんと出会ったことがきっかけでした。まだ20歳代の未来ある女性が、急性骨髄性白血病と診断され、すぐに造血幹細胞移植を行ったのですが、様々な合併症が生じてしまい、壮絶な状況が続きました。苦しむ姿を前に有効な対策を提供できず、かける言葉もなく、ただただ無力感に苛まれました。
 この経験を通じて、「今まで以上に専門的な知識を持って、患者さんの前に立ちたい。一緒に戦える薬剤師になりたい」との思いを強くし、臨床能力を高めるべく、より自己研鑽に励むようになりました。そんな折りに、ちょうどがん専門薬剤師の認定制度もスタートし、挑戦することを決めたのです。研修では、モチベーションが高い他の研修生とともに、学術的な研究に取り組み、特に文献リサーチのスキルは格段に進歩したと思います。問題が発生した際に、あらゆる角度から検討し、科学的に考える力を養うことができ、今につながる基盤となっています。
 その後、がん指導薬剤師のほか、最近になって外来がん治療認定薬剤師の資格も取得。これらの資格を活かして、化学療法を行う患者さんを対象にした薬剤師外来を立ち上げたほか、化学療法委員会や研修会などを通じて院内全体に専門知識を広める活動や、臨床研究にも継続的に取り組んできました。現在までに学会発表は48回、学術論文は18編、うち7編は英文雑誌への掲載で、世界に通じる臨床成果を上げていると自負しています。こうした発表がきっかけとなり、ある大学病院の医師から、発表した抗がん薬の多剤併用制吐療法について「自院でも使用したいので詳しく教えてほしい」と手紙を頂いたこともありました。

資格取得・更新の努力は 目の前の患者さんを救う

 現在では高齢化に伴い、がん患者さんも腎機能や肝機能が低下している場合が多く、抗がん剤の薬物動態を考慮した最適な投与設計が求められるケースも増えています。また、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬が開発されるなど、化学療法のマネジメントは複雑かつ多様化しています。そうした中で、副作用を最少化するための提案をしたり、プロトコールに基づく薬物治療管理において処方オーダーを行ったりするためには、より高度な知識とスキルが必要になります。そのため、資格取得および更新のための努力は、目の前の患者さんを救うことであると、今強く感じています。
 さらに、未来の患者さんを救うために、今後も医師、および大学など研究機関との連携を通じて、臨床薬剤師に加え、医師、薬学者の視点から、より質の高いエビデンスを創出していけるよう、努力を続けていきます。

ADVICE

後輩の皆さんへアドバイス

患者さんのために 努力を あきらめないで。

学生時代は自分のために勉強してきたと思うのですが、医療職に就いてからは患者さんのためにより実践的に学んでいくことが必要になります。5年後、10年後にどんな薬剤師になっていたいかを考え、努力を続けてほしいと思います。

がん薬物療法に5年以上の研修歴があることなどが必要
  • 学会入会

    日本医療薬学会の会員になる
  • 実務経験

    薬剤師としての実務経験が
    5年以上必要
  • 研修

    がん専門薬剤師研修施設で
    がん薬物療法に関する
    5年以上の研修が必要
  • 講習会

    日本医療薬学会が認定する
    がん領域の講習会を50単位以上履修
  • 申請・試験

    がん患者への薬学的介入
    実績50症例を提出
取得方法

がん専門薬剤師の認定を申請する者は、以下の資格をすべて具備する必要があります。(1)薬剤師としての実務経験を5年以上有すること。(2)日本医療薬学会の会員であること。(3)日本医療薬学会認定薬剤師、日本病院薬剤師会生涯研修履修認定薬剤師、薬剤師認定制度認証機構により認証された生涯研修認定制度による認定薬剤師、あるいは日本臨床薬理学会認定薬剤師であること。(4)日本医療薬学会が認定するがん専門薬剤師研修施設において、同学会の定めた研修ガイドラインに従って、がん薬物療法に関する5年以上の研修歴を有すること。(5)日本医療薬学会が認定するがん領域の講習会を50単位以上履修したこと。(6)がん患者への薬学的介入実績50症例を提出することなどの条件があります。

現在の活躍のステージ

 医師および大学と協働した薬・医・学連携の臨床研究が認められ、博士(薬学)の最高学位を拝受することが叶いました。
 現在、ファーマシスト・サイエンティストとして、患者さんの薬物療法に対して科学的アプローチからより密にサポートを行い、安心、安全かつ効果的な薬物療法を提案および実践しています。また、得られた臨床成果が当院に限らず、多くの患者さんに恩恵をもたらすように医療薬学の分野で力を尽くしています。

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